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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科56巻2号

2021年02月発行

文献概要

境界領域/知っておきたい

日本におけるCadaver Surgical Training(CST)の現状と課題—外科系全般

著者: 八木沼洋行1

所属機関: 1福島県立医科大学医学部神経解剖・発生学講座

ページ範囲:P.186 - P.189

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はじめに

 より安全で高度な医療を国民に提供するため,日本国内でも合法的に遺体を用いた手術手技研修が行えるようにしてほしいという声の高まりを受けて,2012年(平成24年)に日本外科学会と日本解剖学会が連名で「臨床医学の教育及び研究における死体解剖のガイドライン」(以下,ガイドライン)を策定し公開した1).これを契機に本邦における献体遺体を用いた臨床手技研修(cadaver surgical training:CST)の実施大学数,研修数とも,年々増加している.しかし一方,さまざまな課題によってCSTの実施に至っていない大学も多い.

 筆者は解剖学会側委員としてガイドライン策定に関わり,公表後は所属する大学内の各種組織の立ち上げや献体登録者からの同意書の再取得などCSTの実施に至る実務を経験している.また,日本外科学会CST推進委員会委員として,各大学から提出されたCST実施報告書の審査やガイドラインの改訂にも関わってきた.本稿では,それらの経験も踏まえて,日本におけるCSTの現状と課題について解説し,その解決の方策について考察する.

参考文献

1) 日本外科学会・日本解剖学会.臨床医学の教育及び研究における死体解剖のガイドライン.(2012年発表,2018年改訂) https://www.jssoc.or.jp/journal/guideline/info20180406-01.pdf(2021/1/7アクセス)
2) 日本外科学会CST推進委員会.臨床医学研究における遺体使用に関する提言.(2020/9/15発) https://www.jssoc.or.jp/journal/guideline/cst20200929.pdf(2021/1/7アクセス)
3) 村上 弦.手術手技の解剖学的評価・再検討を如何に行なうか.第9回臨床解剖研究会記録2006;6:42-3.
4) Thiel W. An arterial substance for subsequent injection during the preservation of the whole corpse. Ann Anat 1992;174(3):197-200. [Article in German]
5) 岡田隆平,角田篤信,籾山直子・他.Thiel法による解剖体固定法とその有用性についての検討.日耳鼻2012;115(8):791-4.
6) 日本解剖学会 解剖体委員会・認定解剖組織技術者資格審査委員会・教育委員会.解剖学教室の技術職員における現状と課題についてのアンケート調査報告書(令和2年3月).解剖学雑誌2020;95:12-22.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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