臨床整形外科56巻5号

2021年05月発行

増大号特集 整形外科　外来・当直　エマージェンシーマニュアル 外傷編 前腕—手の外傷

TFCC損傷

著者： 高野岳人¹

所属機関： ¹新潟大学大学院医歯学総合研究科　機能再建医学講座　整形外科学分野

ページ範囲：P.491 - P.493

TFCC損傷を疑う事前情報

　三角線維軟骨複合体(triangular fibrocartilage complex：TFCC)とは手関節尺側の橈骨・尺骨・月状骨・三角骨に存在する靱帯・線維軟骨複合体のことである．TFCCの機能には，尺骨手根骨間の支持性，遠位橈尺関節(DRUJ)間の支持性，尺骨と尺側手根骨の荷重伝達・分散・吸収などがある．

　TFCC損傷を起こした場合，手関節尺側部痛を呈するが，同部の痛みを呈する疾患はその他にも尺骨突き上げ症候群や尺側手根伸筋腱腱鞘炎および脱臼などがある．

参考文献

1) 高野岳人，森谷浩治，坪川直人・他．尺骨茎状突起を骨切りして長掌筋腱移植による尺骨小窩部再建術を施行した陳旧性三角線維軟骨複合体損傷の治療成績．日手会誌2020：36(6)：1043-8．

2) 安部幸雄．三角線維軟骨複合体(TFCC)損傷の治療．MB Orthop 2014；27(4)：26-32．

3) Nakamura T, Yabe Y, Horiuchi Y. Functional anatomy of the triangular fibrocartilage complex. J Hand Surg 1996;21(5):581-6.