文献詳細
文献概要
増大号特集 整形外科 外来・当直 エマージェンシーマニュアル 外傷編 股関節の外傷
股関節脱臼骨折/[COLUMN]理想の指導医とは?!/[COLUMN]初療室の患者さんからみた私
著者: 分島智子1
所属機関: 1順天堂大学医学部附属静岡病院整形外科
ページ範囲:P.538 - P.542
文献購入ページに移動受傷機転:股関節は強固な靱帯,筋肉,関節包に支持されている安定した球関節であるため,脱臼には非常に大きな外力を要する.そのため股関節脱臼および脱臼骨折の多くは高エネルギー外傷である.
股関節脱臼には後方脱臼と前方脱臼がある.前方脱臼には上方脱臼と下方脱臼があり,それぞれ恥骨上脱臼,閉鎖孔脱臼と呼ばれる.脱臼方向から受傷時の肢位と力のベクトルを推測することが可能であり,股関節屈曲内転位で後方に力が加わると後方脱臼,股関節伸展外転位で過伸展されると恥骨上脱臼,股関節屈曲外転位で開排位強制されると閉鎖孔脱臼となる(図1).とくにダッシュボード損傷(座位でダッシュボードに膝が強打されて後方への軸圧がかかる)による後方脱臼が多い.恥骨上脱臼はスポーツなど低エネルギー外傷で起こることもある.
参考文献
掲載誌情報