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雑誌目次

雑誌文献

臨床整形外科57巻1号

2022年01月発行

雑誌目次

特集 知っておきたい足関節周囲骨折の新展開

緒言 フリーアクセス

著者: 原口直樹

ページ範囲:P.5 - P.5

 足関節は,股関節や膝関節と比較して接触面積が小さいために単位面積あたりの荷重量が大きく,骨折のわずかな転位が早期の関節症性変化につながります.正確な整復と強固な内固定が必要ですが,足関節周囲は軟部組織に乏しく,軟部組織関連の合併症と常に背中合わせです.このため低侵襲かつ強固な固定という相矛盾する手術手技が求められています.

 足関節周囲の骨折では近年,解剖学的,生体力学的基礎的研究が進み,さらには骨折の形態に関する知見が集積されています.これらに裏付けられた手術適応・手術手技に関する考え方が変化し,また種々の新規固定材料が開発されています.足関節は骨性要素だけでなく靱帯・骨間膜がその安定性に大きな役割を果たし,単純な骨折の背景にはこれらの損傷も考慮に入れる必要があるため,医学研究の対象としても興味が尽きません.

足関節後果骨折に対する新たな手術手技—鏡視下Handlebar法

著者: 滝正徳

ページ範囲:P.7 - P.14

足関節後果骨折を鏡視下に整復する鏡視下handlebar法について詳述する.対象はHaraguchi type 1または2の後果骨折で,Kirschner鋼線を後果骨片に内外側に貫通できる骨折型である.手術では腓骨骨折の整復固定後に後果骨片にKirschner鋼線を貫通させ,これを自転車のハンドル(handlebar)のように操作して鏡視下に後果関節面を整復し,前方から数本の裸子で固定する.本法は手術手技が比較的簡便で,関節内全域を観察しながら骨折整復を行うことが可能であり,これまで足関節後果骨折治療が内包してきた多くの障壁を解決できる可能性がある.

足関節後果骨折に対する後外側アプローチの実際

著者: 吉川淳

ページ範囲:P.15 - P.21

足関節後果骨折は日常診療でしばしば遭遇する外傷であるが,その手術方法や手術適応に関しては未だ議論が尽きない.従来の前方アプローチによるラグスクリュー固定では良好な整復固定を獲得できない症例が存在しており,治療成績にも影響を及ぼしている.近年は後果骨折に対して解剖学的整復を追求した後方アプローチによる整復固定の報告が散見されている.本稿では,筆者が実施している後外側アプローチの実際(体位,皮切と展開,整復と固定)について述べる.また,後外側アプローチの適応や注意点についても詳述する.

—新しい解剖学的知見から考える—遠位脛腓骨靱帯結合(シンデスモーシス)損傷

著者: 田野敦寛 ,   二村昭元 ,   秋田恵一

ページ範囲:P.23 - P.30

シンデスモーシスの骨間部構造に関しては,その存在や定義に対する一定の見解がなかった.高分解能CTを用いた骨形態や骨皮質厚の解析,肉眼的および組織学的所見に基づくと,骨間膜の最遠位は厚い線維束となり,腓骨内側面への付着部は負荷される張力を反映し,骨性隆起を呈していた.この線維束は,腓骨動脈の穿通枝によって骨間膜から区別され,これが骨間靱帯として認識されている.骨間靱帯が付着する腓骨内側面の骨性隆起は,シンデスモーシス損傷治療における内固定の解剖学的指標になり得る.

生体力学に裏付けられた遠位脛腓靱帯結合損傷の治療戦略

著者: 寺本篤史 ,   小路弘晃 ,   髙橋克典 ,   村橋靖崇 ,   渡邉耕太 ,   山下敏彦

ページ範囲:P.31 - P.35

遠位脛腓靱帯結合は複合的な遠位脛腓関節の動きを許容している.この脛腓関節運動が遠位脛腓靱帯結合損傷の治療を難しくさせる.筆者らは未固定凍結遺体と電磁気センサーを用いた生体力学的研究を行い,遠位脛腓靱帯損傷モデルと各治療法における脛腓間安定性の評価を行ってきた.金属スクリュー固定は腓骨の生理的運動を阻害し,スーチャーボタン固定は脛腓間不安定性を制動できないことがわかった.スーチャーテープを用いたanterior inferior tibiofibular ligament(AITFL)補強術は正常足関節と同等の生理的な安定性が得られた.生体力学的研究に基づいた遠位脛腓靱帯結合損傷の理想的治療は現時点においてAITFL補強術と考えられる.

遠位脛腓骨靱帯結合の整復状態の術後成績に対する影響

著者: 山口智志

ページ範囲:P.37 - P.42

遠位脛腓骨靱帯結合の損傷は足関節骨折の10〜20%に合併する.脛腓間の固定にはスーチャーボタンやスクリューが用いられるが,良好な整復位を得るのは容易ではない.CTを用いた術後評価では,70%で整復不良が生じたとの報告もある.術中の整復位はX線透視での正確なmortise viewとtalar dome lateral viewで行うが,これらで整復不良を全て検出することは困難である.一方で,近年のシステマティックレビューによると,整復位と臨床成績との関連ははっきりせず,整復位の許容範囲については今後の検討を要する.

高齢者でこそ有用な足関節周囲骨折におけるMATILDA法

著者: 野坂光司 ,   齊藤英知 ,   木島泰明 ,   白幡毅士 ,   土江博幸 ,   斉藤公男 ,   河野哲也 ,   原田俊太郎 ,   宮腰尚久

ページ範囲:P.43 - P.49

高齢者の足関節は老人性皮膚萎縮のため,真皮の伸展性に乏しく,皮下組織が薄いため,足関節周囲骨折においてはプレートなど内固定を留置すると,皮膚組織の二次的な障害を来しやすい.また,加齢に伴う骨脆弱性や運動機能の低下により,松葉杖歩行ができず部分荷重が困難なため,術後の荷重開始が遅れ,入院期間が長引く傾向にある.高齢者足関節周囲骨折に対するリング型外固定器を用いた整復固定は脆弱な軟部組織に対して低侵襲であり,その強固な固定力から,骨強度が著しく低下した脆弱性骨折であっても早期荷重が可能という特徴がある.

ピロン骨折における腓骨骨折の治療

著者: 西井幸信

ページ範囲:P.51 - P.58

足関節の安定性は脛骨,腓骨,距骨による骨性安定性と,それらを連結する靱帯性安定性によって成り立っており,果部骨折ではこれらの構造物が破綻して足関節の安定性を失う.その際に腓骨整復の重要性は周知のことであるが,ピロン骨折では足関節の軸圧損傷により脛骨天蓋および脛骨遠位骨幹端に骨折が生じ,脛骨天蓋部の骨折整復が注目され,脛骨内果や腓骨骨折の整復よりも重要視されやすい.しかし,ピロン骨折であっても,足関節の形態を再構築する際の腓骨の重要性は果部骨折と変わることはない.今回,ピロン骨折における腓骨骨折の整復,足関節の形態を再構築する際の腓骨の重要性について述べる.

スポーツ選手における距骨外側突起骨折に対する鏡視下手術

著者: 舟﨑裕記 ,   木村正 ,   永井聡子

ページ範囲:P.59 - P.65

スノーボーダーなどのスポーツ選手にしばしば生じる,距骨の外側突起に対する鏡視下手術の手技を中心に概説する.仰臥位,足根洞ポータルにて2.7mm鏡を用いて鏡視し,ワーキングポータルを外果前下縁に作製する.イメージ透視を部位,方向の補助診断として使用する.転位を伴った単純骨折に対するスクリューを用いた固定術や遊離体を伴う小骨片の切除などに鏡視下手術は有効であると考える.

距骨骨折術後の距骨壊死の発生は治療成績不良とは関連しない

著者: 熊野穂積 ,   村尾浩

ページ範囲:P.67 - P.70

距骨骨折自験例を調査し,距骨骨折術後の距骨壊死の発生が治療成績に影響するかを検討した.対象は経過観察期間14カ月以上の14例である.方法としては,Hawkinsの評価から治療成績良好群11例と不良群3例に分け,患者側の要因8項目と術後合併症を含む手術関連要因10項目を比較した.その結果,2群間に統計学的な差を認めたのは,同側足関節以遠の合併骨折,骨癒合の有無,術後皮膚壊死,追加手術を要した晩期合併症の4項目であり,距骨壊死を含むその他の要因に統計学的な差はなかった.距骨壊死の発生と治療成績不良とは関連しないことが示唆された.

粉砕型距骨骨折に対し初期治療として人工距骨置換術で対応した治療成績

著者: 勝井龍平 ,   高倉義典

ページ範囲:P.71 - P.75

粉砕型距骨骨折症例に対し初期治療として人工距骨置換術を適応し,その治療成績を報告する.対象は6例で,平均年齢は40.3(19〜59)歳であった.術後治療成績はJSSF scale,SAFE-Q,関節可動域を計測した.平均経過観察期間は61(12〜115)カ月であり,置換術後の治療成績はおおむね良好であった.3例は距骨圧潰が強く,手術前に従来の距骨容積を維持する目的で創外固定器を装着した.粉砕型距骨骨折は整復手技の困難さ,高頻度の無腐性骨壊死の発生や変形性関節症への進行などで治療に難渋するため,人工距骨も初回治療として適応になり得る.

足関節骨折術後のインプラント抜去術—合併症発生率とそれを避ける工夫

著者: 笠井太郎 ,   松本卓巳

ページ範囲:P.77 - P.81

足関節骨折に対する内固定術後の抜釘術の適応は,抜釘術に伴う合併症の情報が欠如しているためコンセンサスを得られていない.そのため足関節骨折術後の抜釘術に伴う合併症を調査した.術前にインプラント関連症状のあった患者は,抜釘術後に全例において症状が改善していた.抜釘術の合併症の発生率は14%であった.合併症が発生した群では,皮切の数が多く,血管病変の併存の割合が高く,手術時間は長かった.足関節骨折術後の抜釘術はインプラント関連症状のある患者に有用な手段だが,同定されたリスク因子を有する患者では適応を慎重に判断する必要がある.

Lecture

最近のがん治療の進歩と骨転移キャンサーボード

著者: 林克洋

ページ範囲:P.85 - P.90

はじめに

 次ページに示す症例1,2(図1,2)をご覧いただきたい.それぞれどのような診断,治療方針を考えるであろうか.

リバース型人工肩関節置換術の実際—良好な術後成績の獲得と合併症を回避するために

著者: 松橋智弥 ,   末永直樹 ,   大泉尚美

ページ範囲:P.91 - P.97

はじめに

 リバース型人工肩関節置換術(reverse total shoulder arthroplasty:RTSA)は2014年に本邦での使用が許可され,当初は70歳以上の広範囲腱板断裂に伴う100°以上の挙上ができない偽性麻痺が対象だったが,実際には70歳未満でもRTSAでしか対応できない症例があるため,現在は65歳以上に引き下げられ,手術適応が広がっている1).機種の改善などにより合併症は減っているが,従来型の解剖学的形状の人工肩関節置換術と比較すると高率であり,合併症を防ぐことが重要である.術後の機能回復も限定的なことから,良好な機能回復のため腱移行術を追加する場合がある2)

 本稿では,筆者らのRTSAにおける工夫について紹介する.

臨床経験

手術症例の特発性側弯症児童が抱くSelf-imageの検討—非手術症例との比較 予備的研究

著者: 重松英樹 ,   田中誠人 ,   川崎佐智子 ,   須賀佑磨 ,   山本雄介 ,   田中康仁

ページ範囲:P.99 - P.102

背景:特発性側弯症において,進行例に対しては手術治療が勧められる.しかし,手術を受ける患児が抱くself-imageが手術決断に重要な要因であるかについては明らかではない.対象と方法:当院の手術症例の19例と,非手術症例の22例について,SRS-22におけるself-imageに関して比較を行った.結果:SRS-22実施時の年齢,Cobb角に有意差を認めた.SRS-22におけるself-imageには2群間に有意差は認めなかった.

まとめ:特発性側弯症における手術決断に対するself-imageの影響を調査したが,手術症例のほうが非手術症例よりもself-imageが悪い結果ではなかった.手術決断には,患児とその両親の両面から,手術に対する期待と不安について調査する必要性がある.

症例報告

肘関節鏡視下手術により生じた医原性尺骨神経断裂の1例

著者: 渥美龍太 ,   木村洋朗 ,   岩本卓士 ,   鈴木拓 ,   松村昇 ,   中村雅也 ,   松本守雄

ページ範囲:P.103 - P.107

13歳男性.前医での肘関節鏡視下手術施行直後より尺骨神経麻痺が生じ,症状改善を認めないため術後1年3カ月の時点で当科を受診した.鏡視下手術に伴う尺骨神経麻痺の診断で手術を施行した.尺骨神経は肘関節高位で完全断裂しており,神経断端を新鮮化した後に筋層下に前方移動し端々縫合を行った.神経縫合術後3年時点で手内筋の麻痺は残存するが鷲手変形および感覚障害の改善を認めた.肘関節鏡視下手術では尺骨神経損傷が多いことが知られており,内側のポータル作製や鏡視下操作には十分な注意が必要である.

書評

足の画像診断 第2版 フリーアクセス

著者: 羽鳥正仁

ページ範囲:P.83 - P.83

 待望の『足の画像診断第2版』が出版された.著者の小橋由紋子先生は第1線の現場で活躍する放射線診断医で足部疾患・外傷のスペシャリストである.整形外科医が圧倒的に多い日本足の外科学会の評議員としても活躍されている.今まで,単著として『足の画像診断』以外でも『ジェネラリストのための高齢者画像診断』,『早期診断で差がつく!スポーツ診療のための画像診断』,『症例でわかる足関節・足部のMRI すぐに役立つ撮り方・読み方のポイント』など,タイトルからもわかるとおり日常の診療ですぐに活用できる多くの本を世に出している.

 従来ともすれば羅列型,紋切り型になりがちな医学参考書の中にあって,先生の本は圧倒的に情報量が多いのが特徴である.情報量とは,先生の圧倒的な知識と記述であり,日常診療経験に裏打ちされた豊富な画像データである.これは先生の類い稀なる医学的文才(センス)と,序文でも述べているとおり整形外科医,臨床検査医との現場でのディスカッション,交流の賜物でもある.時に見られる整形外科医と放射線診断医のギャップが本書には見られない.

今日の整形外科治療指針 第8版 フリーアクセス

著者: 松本守雄

ページ範囲:P.109 - P.109

 前版から5年ぶりの改訂となる『今日の整形外科治療指針 第8版』が出版された.本書は1987年の初版から35年の歳月を経ているロングセラーである.初版の序に「わが国の整形外科はいささか欲張り過ぎともいえるほど守備範囲が広く,大変な科である」との記述があるように,本邦の整形外科は運動器疾患全般の診断,予防,保存療法,手術療法,後療法を扱い,またそれぞれの領域が常に目覚ましい進歩を遂げているので,学習し習得すべき範囲は常に膨大である.もちろんさまざまな論文,総説,ガイドライン,教科書などを通じて知識や情報を得ることは可能であり,かつ必要ではある.しかし社会の高齢化を背景として急速に増加する運動器疾患患者の診療に忙殺される整形外科医がそれら全てに目を通すのは必ずしも容易ではない.その点,本書では整形外科診療における指針の要点がコンパクトに記述されており,最新の情報を効率的に学ぶのに非常に有用であり,本書がロングセラーを続けているゆえんでもある.

 本版は全28章,621項目からなり,ほぼ全ての運動器疾患・外傷とその関連領域の疾患の病態,診断,治療などについての解説が収載された大変網羅的な構成になっている.また450名を超える執筆者はいずれもその領域の最前線でご活躍されている方々ばかりであるため,内容もup-to-dateで実践に即したものになっている.特筆すべきは「リハビリテーションのポイント,関連職種への指示」の項目が新たに加わり,医師の働き方改革を背景にしたチーム医療の推進にも配慮されている点,そして再生医療,iPS細胞を用いた創薬,分子標的治療,シミュレーション手術,ロボット手術などの最新のトピックも取り上げられている点である.一方で,本書の売りの1つとも言える「私のノートから/My Suggestion」の欄では整形外科の先達の先生方に,ご自身の豊富な診療経験に基づいた大変深みのある診療上のご助言をいただける.このような素晴らしい本版を企画・編集された土屋弘行教授をはじめとする6名の編集者の先生方のご慧眼とご尽力に敬意を表したい.

人体の骨格筋 上肢 フリーアクセス

著者: 秋田恵一

ページ範囲:P.111 - P.111

 人体の美術展のカタログを手に取っているかのように思える1冊である.まず目に飛び込んでくるのは,写真の美しさである.解剖実習の経験者であれば,この解剖がいかに難しいものであるか,洗練された技術に基づいたものであるかがわかるはずである.また,アトラスのイラストでは,全ての筋の筋線維の方向まで正しく描写することは非常に難しい.われわれは,この筋線維の配列から,筋の運動を知ることができ,躍動感を感じることができるのである.

 人体の構造は複雑で緻密であり,美しい.また,非常に機能的である.しかし,機能の追究によって形態ができてきたわけではない.さまざまな形態構造の織りなす作用が複合的に働くことによって,複雑な機能が作り出されているのである.よって,骨格筋を1つ1つ分解して解析するのがよいのか,機能を作り出す単位としていくつかの筋をまとめて解析するのが良いのか,という解剖学的なとらえ方の違いは,研究者によって起こり得る.それでも,やはり1つ1つの筋の形態に関する理解がなくては先に進めない.本書に示される個々の筋の起始,停止,形状,筋束の構成についての解析と文献的考察,そして機能特性に関する記載は,筋のスペックを示す上で非常に重要なデータであり,読者が筋の1つ1つを動く構造体として捉えることを可能とする.これらのデータは,機械の詳細なカタログや取り扱い説明書のように,静止する写真を生き生きとした動画にさせる,読者の想像力に訴えかける仕掛けとなっている.

INFORMATION

第25回超音波骨折治療研究会 フリーアクセス

ページ範囲:P.84 - P.84

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目次 フリーアクセス

ページ範囲:P.2 - P.3

欧文目次 フリーアクセス

ページ範囲:P.4 - P.4

次号予告 フリーアクセス

ページ範囲:P.113 - P.113

あとがき フリーアクセス

著者: 松本守雄

ページ範囲:P.116 - P.116

 本号が発刊されるころには2022年を迎えていることになるでしょう.2021年は新型コロナの波に何度も見舞われ,特に第5波による感染は猖獗を極め,全国で入院病床が枯渇し自宅療養を余儀なくされた患者が大量に発生しました.一方で,同時期に東京2020オリンピック・パラリンピックが賛否両論渦巻く中で開催されましたが,逆境の中で懸命にプレーを競い合う選手たちの姿が大きな感動を呼びました.10月に入り感染もいったん収束し,街に人が戻ってきて賑やかになってきました.ハイブリッド形式で開催される学会も現地参加者が増え,お互い顔を合わせながら質疑応答をすることで,オンラインではなかなか難しい深掘りした議論を交わすことができるようになりました.また,久しぶりに再会した面々はさまざまな談義に花を咲かせ,楽しいひとときを過ごすとともに,雑談の中から新しい研究プロジェクトが生まれたりもしております.このように,人と人とが直接会う,話す,競うことで何かが生まれます.ウィズコロナの時代はこれからも続くと思いますが,コロナへの接し方もだいぶわかってきましたので,感染対策をしながら直接会う機会が増えていけばよいと思います.

 さて,本号では原口直樹先生により足関節周囲骨折に関する特集が組まれております.本骨折は非常に頻度の高い身近な外傷ですので,整形外科医として最新の知識を身に付けておくことが必要と思います.今回は実に11名もの本分野におけるエキスパートの先生方に本骨折に関する最先端の情報を記述していただいており,大変網羅的な特集になっています.Lectureでは林 克洋先生に骨転移キャンサーボードについて,松橋智弥先生にリバース型人工肩関節置換術についてご解説いただいており,いずれも近年注目されているトピックです.臨床経験,症例報告も含め本号も大変充実した内容になっておりますので,是非ご一読いただければと思います.

基本情報

臨床整形外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1286

印刷版ISSN 0557-0433

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