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雑誌目次

雑誌文献

臨床整形外科57巻10号

2022年10月発行

雑誌目次

特集 整形外科領域における人工知能の応用

緒言 フリーアクセス

著者: 大鳥精司

ページ範囲:P.1179 - P.1179

 今回,機会をいただき,“整形外科領域における人工知能の応用”を企画させていただいた.昨今の医療における人工知能の応用は加速度的に進んでいる.診断,治療,成績・予後予想など,多くの業績が散見される.整形外科領域でも同様であるが,その人工知能が果たして実臨床を凌駕しており,すべての医師に普遍的に使用可能であるかに関してはまだまだ課題を残す.

 まず総論として,中原龍一先生に整形外科疾患に対する人工知能の応用の現状と今後の展望をご解説いただいた.次に各論として各領域の人工知能の応用に関してご執筆いただいた.脊椎領域では伊藤定之先生,小甲晃史先生,三浦正敬先生,牧聡先生,藪晋人先生,村田寿馬先生,それぞれに,人工知能を用いた脊髄腫瘍自動位置検出システム,側弯症検出システム,頚椎後縦靱帯骨化症の鑑別診断,頚椎後縦靱帯骨化症の手術成績,腰椎MRI画像から,また腰椎単純X線からの椎体骨折の診断をご執筆いただいた.各ご解説は大変素晴らしいものであり,今後のさらなる応用に期待が持てるものと感じている.脊椎領域において,腫瘍,椎体骨折,後縦靱帯骨化症は一般整形外科医師,またその他の診療科の医師にとっても見逃してはならない疾患であり,かつ難治性であり,今後ますますの精度・普遍性を期待したいところである.

総論

整形外科領域に対する人工知能の応用の現状と今後の展望

著者: 中原龍一

ページ範囲:P.1181 - P.1188

医療AI研究はAIプログラムの無料化によって大きく進歩している.本稿では,画像を分類する画像分類,疾患を検出する物体検出,特定領域を選択するセグメンテーションの基本AI技術のほかに,大量の数値を解析する機械学習,距離を計測する深度画像などの手法がどのように整形外科領域のAI研究に用いられているかを解説し,本誌で紹介されているAI研究で著名な先生方による論文理解のガイドとなることを目指す.また言語系AIから生まれた新しい画像AIの現状についても概説する.

各論

深層学習を用いたMRIでの脊髄腫瘍自動位置検出システムの構築

著者: 伊藤定之 ,   中島宏彰 ,   町野正明 ,   世木直喜 ,   小田昌宏 ,   大内田隼 ,   森下和明 ,   森健策 ,   今釜史郎

ページ範囲:P.1189 - P.1195

深層物体検出手法のYou Only Look Once version3(Yolov3)を用いて脊椎MRIから神経鞘種の自動位置検出を可能とするシステムを構築した.T1強調画像を用いた検討では122枚中94枚(77.0%),T2強調画像では122枚中111枚(91.0%)で神経鞘腫の位置を同定可能で,T1,2を統合したシステムでは122枚中114枚(93.4%)であった.2人の脊椎外科医はそれぞれ122枚中110枚(90.2%),122枚中109枚(89.3%)で神経鞘腫の位置を同定可能であった.今回構築したシステムは脊椎外科医と同等の精度であり,スクリーニング検査として期待が持てる精度であると考えられる.

深層学習を用いた単純X線画像のみからの前腕遠位部3次元骨形状推定

著者: 塩出亮哉

ページ範囲:P.1197 - P.1203

Computed tomography(CT)から生成する3次元骨モデルは臨床的有用性が高い一方で,骨モデルの作成にかかる多大なコストと労力,時間,さらには医療被曝が課題である.それらの課題を解決するために,単純X線画像から直接高精度な3次元骨モデルを推定構築するための深層学習ネットワークを開発した.健常成人の手関節のCT画像と単純X線画像のデータセットを用いるうえで,CTから生成する疑似X線画像を学習に用いることで,医用画像における問題点を解決した.

人工知能を活用した骨粗鬆症性椎体骨折の画像診断補助システム—MR画像における新鮮椎体骨折の識別

著者: 藪晋人 ,   星野雅俊 ,   田淵仁志 ,   高橋真治 ,   寺井秀富 ,   升本浩紀 ,   前野考史 ,   岩前真由 ,   豊田宏光 ,   鈴木亨暢 ,   玉井孝司 ,   猪瀬弘之 ,   吉井俊貴 ,   大川淳 ,   中村博亮

ページ範囲:P.1205 - P.1211

畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いてMR画像(T1強調画像,矢状断)による新鮮骨粗鬆症性椎体骨折(OVF)の診断を行い,その精度を2人の脊椎外科医と比較した.新鮮OVFの診断においてCNNのROC曲線下面積は0.949であった.感度,特異性および精度は(CNN/脊椎外科医1/脊椎外科医2)感度:0.881/0.881/1.000,特異度:0.879/0.862/0.655,精度:0.880/0.870/0.800であった.MR画像を用いた新鮮OVF診断において,CNN分類器の診断能は良好であり,また脊椎外科医と同等であった.

母指運動に着目した手根管症候群スクリーニングアプリの開発

著者: 藤田浩二 ,   小山恭史 ,   杉浦裕太

ページ範囲:P.1213 - P.1218

手根管症候群(CTS)では,重症化に伴い母指球筋が萎縮し母指対立運動障害が出現する.重症化前に手術介入することで良好な治療効果が得られるが,症状の自覚が遅れ受診時には重症化していることも多い.CTSの早期発見を目的に,疾患スクリーニング用のスマートフォンゲームアプリを開発しその精度を検証した.ゲーム中の母指運動を解析し機械学習を用いることで,感度,特異度90%以上でCTSを発見することができる診断モデルを作成するに至った.今後,整形外科専門医のいない環境での疾患スクリーニングを目指す.

3Dデプスセンサと人工知能による側弯症検出システム

著者: 小甲晃史 ,   金井理 ,   川上紀明 ,   宇野耕吉 ,   小谷俊明 ,   鈴木哲平 ,   舘弘之 ,   安倍雄一郎 ,   岩崎倫政 ,   須藤英毅

ページ範囲:P.1219 - P.1223

脊柱側弯症は学童期の発症頻度が高い疾患の1つであり,進行例では装具治療や手術治療を要する.そのため学校検診における早期発見が重要である.しかし,今まで客観的な評価方法がなく,発見率の低さや学校医の負担が問題視されていた.われわれは,デプスセンサで背表面の3次元画像を撮影し,背面の左右非対称性から側弯角を予測する診断支援システムを開発した.本報では,本システムに人工知能を組み込むことで,X線撮影で得られた側弯角と予測側弯角の相関係数と予測誤差を改善させることができた.本システムは側弯症検診において,客観的かつ高精度な機器として活用されることが期待される.

深層学習による頚椎単純X線像に基づく頚椎後縦靱帯骨化症の鑑別診断

著者: 三浦正敬 ,   牧聡 ,   古矢丈雄 ,   三浦紘世 ,   高橋宏 ,   國府田正雄 ,   大鳥精司 ,   山崎正志

ページ範囲:P.1225 - P.1229

頚椎単純X線側面像を用いて,頚椎症,頚椎後縦靱帯骨化症,正常例を鑑別するための畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の診断能力を,脊椎外科医の診断能力と比較した.CNNの性能は,脊椎外科医と同等かそれ以上であった.

機械学習による頚椎後縦靱帯骨化症患者の手術成績の予測モデルの構築

著者: 牧聡 ,   古矢丈雄 ,   吉井俊貴 ,   江川聡 ,   大鳥精司 ,   山崎正志 ,   大川淳

ページ範囲:P.1231 - P.1234

本研究では頚椎後縦靱帯骨化症(OPLL)の手術症例データベースに基づき術後1年と術後2年時点でminimal clinically important difference(MCID)を達成できるかを予測する機械学習モデルを作成した.患者背景,臨床症状,画像所見のデータを特徴量として解析を行った.機械学習を用いてOPLLの手術の予後予測モデルの構築に成功し,脊椎手術の予測モデルへの機械学習の適応の可能性を示すことができた.

股関節単純X線画像を用いた骨粗鬆症診断

著者: 山本乃利男

ページ範囲:P.1235 - P.1239

近年,人工知能の研究が発展し,各画像から骨粗鬆症の有無を推測する研究が増えている.今回私たちは,股関節正面単純X線画像から深層学習を用いて骨粗鬆症の有無を推測できるかを検討した.結果は股関節正面単純X線画像から骨粗鬆症の有無を推測することがある程度の識別能で可能であった.また,股関節正面単純X線画像に患者因子を追加することで診断予測が向上した.特に感度が良好であったので,骨粗鬆症の有無についてのscreening toolとして有用であると考える.人工知能を用いた骨粗鬆症診断関連研究は今後も発展することが予想されるため,知見を継続的にupdateすることが必要であると考える.

人工知能を用いた腰椎単純X線からの椎体骨折の診断

著者: 村田寿馬 ,   遠藤健司 ,   粟飯原孝人 ,   鈴木秀和 ,   松岡佑嗣 ,   西村浩輔 ,   髙松太一郎 ,   小西隆允 ,   山内英也 ,   長山恭平 ,   山本謙吾

ページ範囲:P.1241 - P.1245

椎体骨折の画像診断において単純X線側面像の読影は不可欠であるが,非専門医による読影は非常に精度が悪いことが知られる.臨床では必ずしも専門医による診察を受けられるわけではなく,需給のミスマッチが生じる.人工知能を用いた画像診断はこうしたミスマッチを是正する可能性のある新規医療技術であるが,診断精度は不明である.椎体骨折患者の単純X線を用いて,人工知能に骨折椎および非骨折椎の画像分類を学習させた.診断精度,感度・特異度,偽陽性率・偽陰性率はそれぞれ86.0%(95%CI:82.0〜90.0%),84.7%(95%CI:78.8〜90.5%),および87.3%(95%CI:81.9〜92.7%),であり,椎体骨折の画像診断でも有効性が示唆される.

AI(人工知能)を用いた,大腿骨近位部骨折に対する術中使用インプラントサイズ予測モデルの多施設共同開発

著者: 佐藤洋一 ,   朝本学宗 ,   家崎雄介 ,   鈴木朋浩 ,   本田聖和

ページ範囲:P.1247 - P.1251

術前計画は重要である一方,煩雑な手順や時間的制約を理由に十分に行えないことがある.われわれは,AI(人工知能)による解析・予測技術を用いて,患者情報(年齢・性別・身長)から大腿骨近位部骨折に対する術中使用インプラントサイズを予測する機械学習モデルを開発した.機械学習モデルは,約96.3〜98.5%の精度でインプラントサイズ(前後2サイズ以内)を予測した.また,インプラントサイズごとの使用確率をヒストグラムにより描出可能とした.簡便な手順でインプラントサイズを想定し得ることで,医師や関係者の業務負担を減らし,安全な手術遂行に寄与できる可能性がある.

股関節外科領域の人工知能の活用

著者: 髙尾正樹 ,   大竹義人 ,   上村圭亮 ,   岩佐諦 ,   ,   佐藤嘉伸 ,   岡田誠司 ,   菅野伸彦

ページ範囲:P.1253 - P.1257

人工知能の医療への応用は,整形外科においては画像診断を中心に2019年以降報告が増え,股関節外科領域においても近年報告が増えている.単純X線画像自動診断,予後予測,3次元画像解析などに応用されている.われわれは,CTデータから筋骨格モデルを抽出するAIを開発し,骨格では表面距離誤差0.1mm,筋肉では表面距離誤差0.9mmの精度を達成した.術後CT画像評価のための金属アーチファクト低減,CT/MRI画像変換,単純X線骨盤正面像からの3次元筋骨格構造の再現や骨粗鬆症診断,サルコペニア診断などにも取り組んでいる.

Lecture

Teepee View

著者: 佐藤直人 ,   善家雄吉 ,   篠原大地 ,   濱田大志 ,   岡田祥明 ,   安藤恒平 ,   酒井昭典

ページ範囲:P.1261 - P.1265

はじめに

 Teepee view(TPV)とは,不安定型骨盤輪骨折に対してlow route創外固定や小侵襲固定としてLC-2 screwを挿入する際に術中指標として描出する透視像のことである.一般的には仰臥位で管球を尾側に約30°,患側に約30°傾けて形成されるteardropとして描出するとされている1)(図1).しかし骨盤の傾斜や開き具合は個々の患者で異なり,必ずしもこの方法で,全例美しくTPVが描出できるわけではない.

 以前は高エネルギー外傷に伴う不安定型骨盤輪骨折に対する創外固定に使われることがほとんどで,実際にTPVの必要な場面はそれほど多くはなかったと思われるが,近年は脆弱性骨盤輪骨折(fragility fracture of pelvis:FFPs)に対して除痛・早期離床を目的として積極的に手術を施行する流れもあり2),TPVを描出する頻度や必要性が増していると考えられる.本稿では誰もが安全に手技を行える適切なTPVの描出方法を解説し,明日からの実臨床に役立てることを目標とする.

臨床経験

全身麻酔に上肢伝達麻酔を併用した小児上肢骨折の治療経験

著者: 佐久間昭利 ,   山田俊之 ,   六角智之

ページ範囲:P.1267 - P.1271

背景:全身麻酔下の小児骨折治療では,術後嘔気・嘔吐などが問題となる.当院では全身麻酔に上肢伝達麻酔を併用しており,その有用性,安全性について報告する.対象と方法:対象は2018年に上肢骨折の整復・手術加療を行った31例.体重,フェンタニル使用量,手術・術後固定方法,手指可動・疼痛までの時間,疼痛の強さ,日帰り手術の可否,術後合併症を調査した.結果:全例で合併症はなく,術後疼痛は抑制され,日帰り手術が可能であった.まとめ:小児に対する全身麻酔時の上肢伝達麻酔の併用は安全であり,有用である.

症例報告

術中脊髄モニタリングの使用により腰椎Pedicle Subtraction Osteotomy併用矯正固定術後の重篤な神経麻痺を回避できた1例

著者: 冨田貴裕 ,   松本富哉 ,   長本行隆 ,   奥田眞也 ,   髙橋佳史 ,   古家雅之 ,   岩﨑幹季

ページ範囲:P.1273 - P.1277

症例は69歳女性.矢状面アライメント不良と高度の後弯変形を伴った成人脊柱変形に対し,術中脊髄モニタリングを使用して第4腰椎(L4)PSOと第9胸椎から骨盤までの矯正固定術を施行した.L4PSO後の矯正操作の際に両下肢のモニタリング波形の消失を認めたが,すぐに矯正の解除と骨切り部周囲の除圧を追加したことで波形の回復を得ることができた.術中波形の変化に対して適切に対応したことで重篤な神経麻痺を回避できたという点で,術中脊髄モニタリングが有用であった1例と考えた.

書評

エッセンシャル脊椎・脊髄の画像診断 フリーアクセス

著者: 高畑雅彦

ページ範囲:P.1259 - P.1259

 本書をめくってみて驚いたのは,日常診療で遭遇する機会の多い加齢変性疾患から,まれにしか経験しないような珍しい疾患まで私が大学病院で経験してきたほとんどすべての疾患が網羅されていた点です.これがあれば事足りる!というのが第一印象で,脊椎脊髄疾患の診療におけるまさに“エッセンシャル(不可欠な)”テキストと言えると思います.

 本書は脊椎・脊髄疾患の“画像診断”というタイトルですが,その内容は画像診断を中心におきつつも,病態や診断分類,治療まで及んでおり,整形外科あるいは脊椎脊髄外科専門医を目指している医師の知識修得に大変適しています.要点は項目ごとにすべて箇条書きで書かれており,読みやすさに工夫が凝らされています.また,実際の症例の画像が丁寧な解説付きで提示されており,とてもわかりやすい構成になっています.画像は厳選されたわかりやすいものが使われており,さすが放射線科の先生たちが作ったテキストです.治療方針に関わる最新の画像診断分類も掲載されており,症例検討会などでも力を発揮するきわめて実用的な本でもあります.疾患の本質や最新知識,診療上の注意点をまとめた“ノート”も秀逸で,そこを読むだけでも他の医師と一歩差がつくこと間違いありません.

AO法骨折治療Wrist—英語版Web付録付 フリーアクセス

著者: 稲垣克記

ページ範囲:P.1266 - P.1266

 手の科学の進歩は著しい.手関節部の骨折,橈骨遠位端骨折の治療も手の痛みの治療や骨折治療後の不安定症を含め,従来の科学では扱いきれない部分を持っている.例えば手には人間の顔と同じように表情と個性があり,人間の歴史と生活が刻まれている.生理学者ペンフィールドが示した“ペンフィールドの脳地図”では,手は脳の広い範囲を占める.歴史的にも猿人類からヒトへの進化の過程で二足歩行を獲得し,これにより手が自由となった.ヒトは脳の進化と並行して手と上肢が自由に使えるようになった.このように手の進化が脳,特に大脳皮質の体性感覚野の進化に先行したことは明らかである.脳と手は密接な関係があり,手を扱う外科医には高度の精神活動を表現する脳を理解することと,脳を上手に使える手を治す感性が求められる.本書は手の外科医ばかりでなく若手の一般整形外科医が日常診療上最も遭遇する機会の多い外傷・骨折を扱い,その治療を極めたエキスパートにより編集され翻訳された.

 本書は第1部:手術進入法,第2部:症例に分かれ,外科的治療から合併症,リハビリテーションの方法についても言及している.また,手関節の外科解剖から骨折初期治療に至る治療計画を網羅し,手術手技やインプラントを的確に選択する根拠も明確に記載されている.執筆者はCampbell,Jupiter,Fernandez,Nuñezらいずれも著名な手外科医であり,本書はAO財団組織の中核である教育プログラムの軸となっている.また,この名著の翻訳に当たったのは,AO Trauma Japanのメンバーであり,監訳の田中正氏を筆頭に,訳者代表を金谷文則氏,訳者を佐藤徹氏,宮本俊之氏,善家雄吉氏が務めている.

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目次 フリーアクセス

ページ範囲:P.1176 - P.1177

欧文目次 フリーアクセス

ページ範囲:P.1178 - P.1178

次号予告 フリーアクセス

ページ範囲:P.1279 - P.1279

あとがき フリーアクセス

著者: 黒田良祐

ページ範囲:P.1282 - P.1282

 本年5月に日本整形外科学会学術集会が神戸で開催され(hybrid形式),私も参加いたしました.約5,000名の現地参加があったそうです.久しぶりに対面で多くの先生方にお会いでき,先生方のご講演をライブで聴講でき,とても幸せな時間と空間でした.同じ頃,海外への出張も緩和され,私自身は2度ほど欧州の学会に参加いたしました.国民すべてがマスクをし,レストランにはアクリル板がそそり立っている日本と,誰一人マスクをせず,自由に食事や会話を楽しんでいる欧州とのギャップに驚き,国によってコロナとの戦いもさまざまであると実感しました.そろそろコロナ禍の収束かとホッとし始めた今年の夏は,再び新型コロナウイルス感染症のパンデミック(第7波)が日本を襲いました.このあとがきを執筆している8月中旬は,日本における1日の新規感染者数が世界最多を記録しています.医療機関も職員の感染・自宅待機が急増し,その機能を落とさざるを得なくなってきました.秋にはオミクロン株対応のワクチンができるとの情報もありますが,もう3年目になるコロナ禍の収束をただただ願うばかりです.

 さて,本号では特集「整形外科領域における人工知能の応用」を企画いたしました.「AI」とは「artificial intelligence」の略語で,日本語では「人工知能」と訳されています.名前のとおり,コンピュータを使い,人間の知能を再現している技術です.近年,このAIの医療現場への貢献が注目されています.脊髄,脊椎,上肢,骨折,骨粗鬆症,股関節疾患などさまざまな分野での最新AI情報を掲載しております.

基本情報

臨床整形外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1286

印刷版ISSN 0557-0433

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