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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科57巻12号

2022年12月発行

文献概要

特集 大腿骨近位部骨折—最新トレンドとエキスパートの治療法 転子部骨折

大腿骨転子部骨折 術前分類法と術後分類法の意義—どの分類法が有用か

著者: 林豪毅1 福田文雄1

所属機関: 1北九州総合病院整形外科

ページ範囲:P.1429 - P.1435

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大腿骨転子部骨折の分類について,大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン2021(改訂第3版,南江堂)に沿って述べる.まず術前分類として,単純X線による分類は,AO分類,生田分類,そして宇都宮分類を,3D-CTによる分類は,中野分類と正田分類を取り上げた.次に,術後分類としてAP3×ML3分類を紹介した.「有用な分類」とは,治療方針や術後の予後予測に役立つものであり,①整復が容易か? ②術後の力学的安定性が得られているか?の判断材料となり得る分類が有用である.術前分類により骨折型を評価し,前方皮質骨がbone to boneで接触するよう「骨性コンタクト」をいかに得るか術前計画を立て,「安定した整復位」を得ることが大事である.術後整復位分類で翌日から全荷重の可否を含む予後を予測し,整復に不安がある場合は術後3D-CT撮影を行い評価する.

参考文献

1) 日本整形外科学会・日本骨折治療学会(監),日本整形外科学会診療ガイドライン委員会・大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン策定委員会(編).大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン2021.改訂第3版.東京:南江堂;2021.
2) Meinberg EG, Agel J, Roberts CS, et al. Fracture and dislocation classification compendium-2018. J Orthop Trauma 2018;32 Suppl 1:S33-44.
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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