臨床整形外科57巻2号

2022年02月発行

特集 ロコモティブシンドローム臨床判断値に基づいた整形外科診療

臨床判断値に基づいた疫学調査—ROAD Studyより

著者： 吉村典子¹

所属機関： ¹東京大学医学部附属病院22世紀医療センターロコモ予防学講座

ページ範囲：P.133 - P.137

地域住民コホートROADに実施したロコモ度テストの結果から，ロコモティブシンドローム(以下，ロコモ)の有病率を推定したところ，ロコモ度1以上該当は全体の70％，ロコモ度2以上該当は全体の25％，全体の約1割がロコモ度3に該当することがわかった．さらに，同対象者の6年間の追跡結果から，要介護発生にロコモ度がどの程度影響を及ぼしているかを解析したところ，ロコモ度0に対して，1，2は有意なリスクの上昇を認めなかったが，ロコモ度3の場合，要介護のリスクが約3.6倍になることを報告した．

参考文献

1) 厚生労働省．介護保険事業状況報告の概要(令和2年2月暫定版)．https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/jigyo/m20/2002.html(2021年10月23日アクセス)

2) 内閣府．平成30年版高齢社会白書(全体版)．健康・福祉．https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2018/html/zenbun/s1_2_2.html(2021年10月23日アクセス)

3) 厚生労働省．2019年国民生活基礎調査の概況．https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/05.pdf(2021年10月23日アクセス)

4) 中村耕三．超高齢社会とロコモティブシンドローム．日整会誌2008；82(1)：1-2．

5) ロコモ チャレンジ！推進協議会．日本整形外科学会．ロコモパンフレット2014年度版．https://locomo-joa.jp/check/pdf/locomo_pf2014.pdf(2021年10月23日アクセス)

6) 日本整形外科学会．ロコモ度を判定する「臨床判断値」を発表—ロコモの進行状況と対処の指針を，ロコモ度テストを用いて新たに分類(平成27年5月15日プレスリリース)．https://www.joa.or.jp/media/comment/pdf/20150515_locomo_clinical_judgment.pdf(2021年10月23日アクセス)

7) 日本整形外科学会．ロコモ度を判定する「臨床判断値」に「ロコモ度3」を追加—ロコモの医療対策に関する根拠や高齢になる前のロコモ対策の指標化へ期待(令和2年9月10日プレスリリース)．https://www.joa.or.jp/media/comment/pdf/20200911_clinical_judgment_value.pdf(2021年10月23日アクセス)

8) ロコモ チャレンジ！推進協議会．ロコモ度判定方法．https://locomo-joa.jp/check/judge/(2021年10月23日アクセス)

9) Yoshimura N, Muraki S, Oka H, et al. Prevalence of knee osteoarthritis, lumbar spondylosis and osteoporosis in Japanese men and women:the research on osteoarthritis/osteoporosis against disability study. J Bone Miner Metab 2009;27(5):620-8.

10) Yoshimura N, Muraki S, Oka H, et al. Cohort profile:research on osteoarthritis/osteoporosis against disability study. Int J Epidemiol 2010;39(4):988-95.

11) Yoshimura N, Muraki S, Nakamura K, et al. Epidemiology of the locomotive syndrome:the research on ssteoarthritis/ssteoporosis against disability study 2005-2015. Mod Rheumatol 2017;27(1):1-7.

12) 総務省統計局．平成22年国勢調査人口等基本集計．2011．