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あとがき
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著者:
松山幸弘
所属機関:
ページ範囲:P.1174 - P.1174
本号は野田知之先生が骨盤骨折の診断と治療について特集を組んでくださった.この骨盤骨折,特に骨盤輪が破綻した場合の再建が大変重要であることは周知の事実であるが,手技的には大変難易度が高い.しかしここ10年でのIVR領域で行われている血管内治療の進歩,そして画像処理技術やナビゲーション,ロボティックサージャリーの進歩,さらにはインプラントの進歩によって骨盤輪再建はより安全に,確実に行うことが可能となってきた.周知のことではあるが,骨盤輪損傷は体幹支持性の喪失のみならず,骨盤内臓器・大血管・神経損傷を合併することがあり,救命処置が優先されることがある重傷外傷である.整形外科医として,重篤な合併症の防止と体幹支持性の獲得のために骨盤輪の再建は重要であり,この骨盤輪のバイオメカニクス,そして解剖を熟知することが必要となる.
今回の特集では骨盤輪の解剖,バイオメカニクスから始まり,骨切に対する全身管理,安定化,固定方法も含んだ初期治療,そして骨盤輪再建の手術方法について,救命救急センターで活躍するトップランナーの先生方に論述していただいている.初期研修医,後期研修医,もちろん整形外科専門医にとっても大変魅力的な内容に仕上がっていると思う.特に骨盤輪再建において,その病態に対応した多種多様なアプローチで矯正再建する内容は読み応えがあり,またすぐさま臨床に役立つものと確信している.