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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科58巻11号

2023年11月発行

文献概要

特集 外傷性頚部症候群—診療の最前線

外傷性頚部症候群の裁判事例

著者: 羽成守1

所属機関: 1ひびき綜合法律事務所

ページ範囲:P.1349 - P.1353

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外傷性頚部症候群は,1960〜1970年代にかけ,交通事故が増加した際,むち打ち症と呼ばれていた傷病名に対して付けられた病名である.外傷性頚部症候群は医学的他覚性に乏しく,交通事故損害賠償もからみ,ノイローゼなどの精神神経症状や自律神経症状を訴える者も少なくなかった.これに対し,実験や論文などで検証され,発生の機序などが明らかにされ,本症病に関する紛争は収束しつつある.しかし,難治性患者に対し,脳脊髄液減少症,胸郭出口症候群,線維筋痛症といった診断名も出始め,これらが交通事故と相当因果関係があるかが検討されている.

参考文献

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6) 東京地判平成19年5月28日交民40巻3号692頁.
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9) 千葉地判平成21年12月17日交民42巻6号1657頁.
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24) 神戸地判平成20年8月26日自ジ1794号2頁.
25) 京都地判平成22年12月2日自ジ1844号21頁.
26) 横浜地判平成24年2月28日自ジ1872号10頁.
27) 黒田清綱.線維筋痛症.交通事故賠償研究会(編).交通事故診療と損害賠償実務の交錯.東京:創耕舎;2016.p.224.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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