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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科58巻12号

2023年12月発行

文献概要

視座

整形外科Common Diseaseとしての関節リウマチ

著者: 高橋伸典1

所属機関: 1愛知医科大学整形外科

ページ範囲:P.1407 - P.1407

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 私が医者になった1997年頃は関節リウマチに対する薬物治療が,今思えばずいぶんと貧弱な時代でした.関節リウマチは関節炎と関節破壊がエンドポイントであり,関節を主座とする疾患ですので,今も昔も診療の主体は整形外科になることが多いです.整形外科医になって1年目の私が見様見真似で投薬していたのを思い出しますし,当時多くの整形外科医は関節リウマチをcommon diseaseととらえて同様にしていたと思います.その後メトトレキサートと分子標的薬という,整形外科医にとってはやや敷居の高い薬剤が全盛となって現在に至りますが,その間に関節リウマチの薬物治療はリウマチ専門医が行うべきという流れができてしまいました.次々と新しい薬剤が登場して,新しい薬剤は旧い薬剤よりベターであり,最終的には薬物治療がすべてを解決してくれるという幻想の中でこの流れが生まれたと思います.

 しかしここまでに14剤と多くの分子標的薬が登場しましたが,大筋において治療効果に差がないことが示されました.つまり,すべての薬剤を知らなくても関節リウマチ治療は成立するということになります.リウマチ専門医としてはやや寂しい気はしますが,メトトレキサートと1剤目の分子標的薬までの初期治療においては専門医を必要としないのが現在の関節リウマチ診療であるといえます.もし初期治療が効果不十分なら,またはそもそも診断が難しい症例は,リウマチ専門医が生きる場所になります.しかしこと初期治療に関していえば,今や関節リウマチは整形外科のcommon diseaseの1つとして再び戻って来たと感じています.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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