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雑誌目次

雑誌文献

臨床整形外科58巻3号

2023年03月発行

雑誌目次

特集 二次骨折予防に向けた治療管理

緒言 フリーアクセス

著者: 石橋英明

ページ範囲:P.237 - P.237

 1990年代に英国Glasgow地域で始まったFracture Liaison Service(FLS:骨折リエゾンサービス)は,骨粗鬆症性骨折の最も有効な再発予防策として欧米に広がった.わが国においても骨粗鬆症性骨折が増え続ける中,2012年にOsteoporosis Liaison Service(OLS:骨粗鬆症リエゾンサービス)が日本骨粗鬆症学会を中心として始まった.OLSは二次骨折(再骨折)の予防だけでなく,一次骨折(初発骨折)や骨粗鬆症そのものの予防や治療も含む取り組みである.FLSと同様,OLSも多職種で進めることが特徴で,わが国においては骨粗鬆症マネージャーと呼ばれる認定資格者が中心となってOLSが実践されている.

 しかし,OLSの取り組みがさらに広がるためには大きな課題があった.それは,診療報酬に反映されることである.英国では大腿骨近位部骨折の周術期管理や骨粗鬆症の評価をすることに対して診療報酬(Best Practice Tariff)が設定され,FLSがさらに広がり,死亡率や骨折率の低下に寄与した.わが国においても同様な診療報酬が設けられることを望む声は大きかった.そして,満を持して2022年4月から「大腿骨近位部骨折に関わる二次性骨折予防継続管理料」「大腿骨近位部骨折に関わる緊急固定加算・緊急挿入加算」が新設された.これはOLS/FLSにとって本当に大きな進展であり,諸先生のご尽力に心から敬意と感謝を述べたい.多くの施設がこの診療報酬を算定し,これを契機にさらに多くの施設がOLS/FLSを実施していただければと思う.

二次性骨折予防継続管理の重要性

著者: 山本智章

ページ範囲:P.239 - P.244

令和4年度の診療報酬改定において大腿骨近位部骨折患者の手術症例に対して二次性骨折予防継続管理料が新設された.高齢化によって脆弱性骨折が増加し,骨折に伴う医療費や介護費の負担が激増している中で整形外科領域の医療政策に大きな変化がもたらされたともいえる.本改定の背景と現状を解説する.

骨粗鬆症リエゾンサービスの多職種連携

著者: 鈴木敦詞 ,   植田佐保子 ,   垣田彩子

ページ範囲:P.245 - P.250

骨粗鬆症性骨折後の高リスク患者に対する二次性骨折を予防するためには,診療する医師個人の努力のみに依存することは非効率かつ不確実である.日本骨粗鬆症学会が推進する骨粗鬆症リエゾンサービスでは,メディカルスタッフに対して骨粗鬆症マネージャー資格を付与し,多職種連携・施設間連携による診療支援により,「初発の骨折を防ぎ,骨折の連鎖を絶つ」ことを目指している.みずからの職種の専門性によらず包括的診療支援が行えるように「OLS-7」などの枠組みも提唱されている.

二次骨折予防を念頭においた大腿骨頚部骨折の急性期治療

著者: 上原悠輔 ,   宮本健史

ページ範囲:P.251 - P.256

近年増加する大腿骨近位部骨折治療において,初期治療にあたる急性期病院では二次骨折予防を念頭において診療にあたることが求められている.本邦において多職種連携を基盤とした骨折リエゾンサービス(FLS)の活用による二次骨折予防の取り組みが行われるようになっており,その有用性が示されている.大腿骨頚部骨折に対する手術の際に必要なことは強固な固定と適切なステム選択で,受傷後早期に手術を行うことである.また,われわれは数年前から多施設共同研究(K-STOP)の中で大腿骨近位部骨折のリスクファクターを継続して調査しているが,この詳細な解説により二次骨折予防の一助となることを期待している.

二次骨折予防を念頭においた大腿骨転子部骨折の急性期治療

著者: 平井一人 ,   野田知之

ページ範囲:P.257 - P.263

大腿骨転子部骨折の急性期治療においては早期手術ならびに適切な術前画像評価と整復手技により術直後から全荷重を可能とする安定性を獲得することが,骨折リエゾンサービスによる二次骨折予防に繋げる最も重要なポイントである.今回は骨折型と不安定性評価のための「骨折型分類と治療方針決定」,整復と骨性支持の獲得により早期全荷重を目指す「手術手技」,多職種連携して二次骨折予防を目指す「骨折リエゾンサービス(FLS)」に関して述べる.

二次骨折予防を念頭においた椎体骨折の急性期治療—骨形成促進薬先行投与の重要性と経皮的椎体形成術の適応とタイミング

著者: 安岡宏樹

ページ範囲:P.265 - P.272

椎体骨折治療の基本は保存療法であるが,椎体圧壊が激しく離床困難な場合や,疼痛が遷延し椎体内不安定性が残存する場合にはBKP(balloon kyphoplasty)やVBS(vertebral body stenting)といった経皮的椎体形成術が有用である.手術を要する症例や重症骨粗鬆症に該当する症例に対しては,骨形成促進薬先行投与を念頭に骨粗鬆症治療を開始し,骨粗鬆症リエゾンサービス(OLS)活動を通じ,適切な二次骨折予防を行っていかねばならない.

二次骨折予防のための薬物療法

著者: 井上玲子 ,   井上大輔

ページ範囲:P.273 - P.280

既存骨折は低骨密度や年齢とともに重要な骨折リスクである.二次骨折の大部分が初回骨折後の早期に生じることから,その予防のためには骨折後早期の骨折の危険性が非常に高まった状態において適切な治療薬を選択し,その後も半永続的に継続することが求められる.骨折リスクの非常に高い状態では骨形成促進薬の積極的な使用により骨密度を速やかに回復させ,直近の骨折リスクを早急に低下させることが優先される.また,骨吸収抑制薬による治療継続と骨折リスクの再評価も重要である.

二次骨折予防のためのリハビリテーション・運動指導

著者: 加藤木丈英 ,   小谷俊明 ,   岸田俊二 ,   飯島靖 ,   藤井隆之

ページ範囲:P.281 - P.288

大腿骨近位部骨折の原因は,転倒が骨折受傷機転の79.5%を占めている.つまり,骨折を減らすためには,転倒自体を減らすことが重要である.転倒を予防するために簡便に行えるダイナミックフラミンゴ療法は有効な運動療法の1つである.また,本邦では多職種協働の二次骨折予防サポートチームが設置されてきており,骨折リエゾンサービス(FLS)クリニカルスタンダードによりシームレスな医療連携が期待されている.理学療法士をはじめとするリハビリテーション専門職は,転倒/骨折予防を担う極めて重要な立ち位置にある.

大腿骨近位部骨折の診療報酬加算のポイント

著者: 澤口毅

ページ範囲:P.289 - P.295

2022年4月の診療報酬改定で,高齢者大腿骨近位部骨折に対する早期手術と二次性骨折予防に加算が認められた.さらに二次性骨折予防を行わないと早期手術加算が請求できず,早期手術には多職種連携による周術期管理を求めている.本改定は,わが国の高齢者大腿骨近位部骨折治療を大いに前進させると考えられる.またデータベースの登録が義務づけられたことにより,わが国の高齢者大腿骨近位部骨折の現状把握と改善,各施設の治療の改善,向上に役立ち,また臨床研究への活用につながることが期待できる.

大腿骨近位部骨折の診療報酬加算の実際—済生会吹田病院

著者: 黒川正夫

ページ範囲:P.297 - P.303

大腿骨近位部骨折二次骨折リスク評価および治療方針決定は骨折リエゾンサービス(FLS)カンファレンスで行った.2022年上半期の患者31例のDXAの結果は大腿骨頚部が64.7%YAM,大腿骨近位部全体が64.2%YAMと低値であった.骨折前の骨粗鬆症治療は9/31例(29.0%)が退院時には21/31例(67.7%)と改善した.継続的な二次性骨折予防に係る評価は28/31例(90.3%),大腿骨近位部骨折緊急手術加算(対象22例)は13/22例(59.1%)に算定できた.病院退院後に帰宅,あるいは施設入所後の骨粗鬆症治療継続のためには,骨折リスクと治療経過を患者,急性期病院,回復期病院,診療所医師が共有できるツールが必要である.

最新基礎科学/知っておきたい

バイポーラやサージカルエアトームから発生する熱が神経組織に与える影響

著者: 中野敦之

ページ範囲:P.306 - P.308

はじめに

 脊椎外科は近年目覚ましい技術革新を遂げ,高難度手術でも比較的安全に行うことが可能となった.手術機器も同様に進化を続け,特に電気機器はルーチンワークにおいてわれわれの技術をサポートしてくれる.一方で手術機器特有の合併症,特に熱による組織損傷も存在し,機器の特性と発症の要因を知っておく必要がある.熱損傷は術野で確認することが難しいが,非常に参考になる基礎研究がある.

 サージカルエアトーム,ドリル熱に関する研究では,Tamaiら1)はウサギ腰椎椎弓のドリル掘削時における神経根周囲の温度をワイヤー状の温度計で計測し,神経根損傷を組織学的に調査した.Diamond burr 60秒使用時,直下の神経根周囲の温度は36.1℃から51.4℃まで上昇し,組織学的神経根損傷は直後7.7%,3日後21.4%,7日後44%に認められた.ROC解析では48.9℃が神経損傷発生の閾値であったが,冷却水(8℃)散布で39℃まで温度は低下し,7日後の神経損傷を9.5%まで減少させることを示した.

 バイポーラ熱に関する研究においてOhyamaら2)はウサギ神経根周囲をバイポーラで焼灼して周囲の温度を計測し,神経根の熱損傷を組織学的に調査した.その結果,神経から1mmの箇所を25W,4秒で焼灼すると,60.9℃まで上昇していた.さらに組織学的評価では術直後にsham群と有意差がなかった軸索損傷が,術後7日では47.8%と有意に増加していた.バイポーラ熱の対策として,水の滴下を行うことで42.7℃まで有意に低下させ,焼灼時バイポーラを神経の走行に垂直に挟むことで40.4℃まで低下させることを明らかにした.

 これらは手術機器の発する熱によって神経根が損傷を受けることを組織学的に示した研究であるが,興味深いのはいずれのデータも直後より7日後のほうが有意に軸索損傷の頻度が高かったことである.これは手術機器による神経の熱損傷の症状は,術直後ではなく術後数日経ってから出てくる可能性を示唆するものである.そういえば,脊椎手術症例で術直後は下肢痛やしびれが改善していたのに,数日から1週ほど経ってから下肢の症状が新たに出るといった経験が少なからずある.重篤でない場合は検査もせずに血腫や神経根の牽引操作で一時的に症状が生じている可能性を説明して経過観察することもあったが,実は熱損傷の患者が含まれていたのかもしれない.そう考えると,術中の機器による熱がどの程度のものか検証する必要性を感じ,サーモセンサー(図1)を用いた簡単な検証実験を行った.

境界領域/知っておきたい

職域でみられる末梢神経障害—化学物質取扱いによる業務上疾病

著者: 松岡雅人

ページ範囲:P.310 - P.313

はじめに

 末梢神経障害は日々臨床の場において遭遇することの多い疾患の1つである.このなかには,業務に起因するものが含まれており,業務上疾病に該当するかどうかの検討が必要になることがある.業務上疾病は,労働基準法施行規則(労基則)第35条に基づく労基則別表第1の2に定められており,「職業病リスト」と呼ばれる.このうち,末梢神経障害または運動器障害を来すものとして,「身体に過度の負担のかかる作業態様に起因する疾病」の「さく岩機,鋲打ち機,チェーンソー等の機械器具の使用により身体に振動を与える業務による手指,前腕等の末梢循環障害,末梢神経障害又は運動器障害」(第3号3),「電子計算機への入力を反復して行う業務その他上肢に過度の負担のかかる業務による後頭部,頸部,肩甲帯,上腕,前腕又は手指の運動器障害」(第3号4)と「化学物質等による疾病」の「厚生労働大臣の指定する単体たる化学物質及び化合物(合金を含む.)にさらされる業務による疾病であって,厚生労働大臣が定めるもの」(第4号1)がある.

臨床経験

脳原性麻痺における癒着性尖足に対する筋膜ハイドロリリース

著者: 星野弘太郎

ページ範囲:P.315 - P.323

難治性尖足に対して,液体注入により水力学的に腓腹筋/ヒラメ筋膜間を剥離するハイドロリリースを行い改善することを発見した.対象と方法:脳原性麻痺に合併した尖足5例6足(平均年齢34.4歳)に本法を行った.エコーガイド下に腓腹筋/ヒラメ筋筋膜間へ局所麻酔薬30〜60mLを注入した.結果:本法施行直後,全例に足関節背屈可動域の改善を認めた.獲得角度は膝関節伸展位足関節背屈角度(DKE)平均17.7°,膝関節屈曲位足関節背屈角度(DKF)平均12.8°であった.まとめ:本法により短期的に改善がみられる癒着性尖足拘縮という病態が証明され,新たな治療法となると考えられた.

腰椎後方除圧術後再手術症例に対する腰椎側方進入椎体間固定術(Lateral Lumbar Interbody Fusion)の有用性

著者: 佐々木真一 ,   黒田浩司 ,   平井高志 ,   湯浅将人 ,   大川淳

ページ範囲:P.325 - P.329

目的:腰椎後方除圧術後再手術症例に対する腰椎側方進入椎体間固定術(LLIF)の臨床成績を調査した.対象と方法:筆者が施行したLLIF37例のうち,腰椎後方除圧術後再手術を施行した7例を対象とし,臨床成績を評価した.結果:手術時間は,初回手術と比較してやや延長していたが,術中出血量は有意な増加はなく,臨床成績も良好であった.まとめ:LLIFは側方進入により椎体間固定ができるという利点から,後方除圧術後の再手術症例に対し,瘢痕を避けて間接除圧,椎体間固定を行うことが可能で,今回の調査でも十分な低侵襲性が維持されていた.

症例報告

多発椎体骨折を契機に発見されたクッシング症候群の1例—骨代謝と骨粗鬆症治療

著者: 撫井貴弘 ,   田中誠人 ,   西納卓哉 ,   重松英樹 ,   中島弘司 ,   田中康仁

ページ範囲:P.331 - P.335

緒言:閉経前後の女性に発生した多発椎体骨折の1例を経験したので報告する.症例:49歳女性.当科受診2カ月前より腰痛,左股関節痛が出現した.画像所見で第11,12胸椎椎体骨折,左恥骨下枝骨折を認めた.追加検査で糖尿病,骨粗鬆症を認めた.CT画像で左副腎腫瘍を認めた.内分泌検査を行い,左副腎腫瘍によるクッシング症候群と診断した.骨粗鬆症に対して薬物治療を行った.考察:若年発症の椎体骨折では続発性骨粗鬆症を疑うことが重要である.クッシング症候群では腫瘍摘出術前後の病態を考慮し,治療薬を選択することが必要であると考えられた.

書評

がん診療レジデントマニュアル 第9版 フリーアクセス

著者: 石岡千加史

ページ範囲:P.305 - P.305

 高度化する今日の日本のがん医療には,質の高い医療提供体制が必要であり,その要となるのはがん専門医療従事者です.がん対策基本法の施行(平成19年4月)後,専門医を含むがん専門医療従事者の育成の必要性が社会や国に認識されるようになり,がん薬物療法専門医,放射線治療専門医,緩和医療専門医など学会が主導するがん治療に特化した専門医制度が確立しました.また,がん看護専門看護師やがん関連の認定看護師制度などの専門性の高いメディカルスタッフの育成体制もおおむね確立し,がん専門医療従事者の養成は少しずつ進んできました.しかし,いまだにがん専門医療従事者の配置は地域間格差や医療機関間格差が明らかで,高度化するがん医療と相まって医療水準の質の格差の原因となっています.このため,同法に掲げられる「がん医療の均てん化の促進」は,いまだに解決すべき重要な課題です.

 本書は現場ですぐに役に立つマニュアルとして版を重ね,四半世紀が経ちました.この間,コンパクトながら系統的にまとめられた内容が好評で,主に腫瘍内科をめざす若い研修医やがん薬物療法専門医をめざすレジデントに愛読されてきました.がん専門医療者に求められる知識は,各臓器別,治療法別の知識にとどまらず,がんの疫学,臨床試験,がん薬物療法の基礎知識,集学的がん治療,がんゲノム医療,緩和医療など臨床腫瘍学の幅広い領域にわたります.今回の第9版は,前版までの読みやすくかつ系統的な内容・書式を継承しつつも,疫学データ,標準治療などを最新の内容にアップデートし,さらにがんゲノム医療を新たに章立てしたもので,腫瘍内科医はもとより,がん診療に携わる全ての医師,メディカルスタッフの入門書として大変有用だと思います.さらに若い医療者や学生を育成する指導者のための参考書としても役に立つはずです.

子どもの「痛み」がわかる本—はじめて学ぶ慢性痛診療 フリーアクセス

著者: 倉澤茂樹

ページ範囲:P.314 - P.314

 感覚過敏や鈍麻など,臨床を通じ肌身でとらえた子どもの感覚世界を,子どもの代弁者となり保護者や多職種に伝えることの重要性を実感している.本書を読み終え,著者である加藤実先生に勝手ながら妙な親近感を覚えた.長年にわたり子どもたちの痛みと向き合ってきた臨床家としての経験知,そしてエビデンスを重視する研究者としての姿勢に共感したのである.

 子どもの痛み体験は,身体的反応だけでなく,不安や恐怖など情動体験として認知形成され,長期的な影響も引き起こす.この事実はわが国の児童・思春期医療において十分に認識されていない.処置時の痛みは「一瞬だから」と軽視され,「そのうち慣れる」と放置されることも少なくない.リハビリテーションに携わるセラピストも例外ではない.新生児集中治療室ではカテーテルやモニター機器が装着され,臓器発達の未熟な新生児は動くことにさえ苦痛を伴うだろう.術後早期から開始されるリハビリテーションにおいて“機能回復”を優先するあまり,痛みを蔑ろにしていないだろうか? エビデンスとともに示される事実によって,われわれセラピストは内省する機会を得るだろう.

運動器疾患・外傷のリハビリテーション医学・医療テキスト フリーアクセス

著者: 山本卓明

ページ範囲:P.337 - P.337

 『運動器疾患・外傷のリハビリテーション医学・医療テキスト』が発刊された.これまで系統的かつ継続的に発刊されてきた,「リハビリテーション医学・医療テキストシリーズ」の11番目の書であり,質・量ともに大変充実したものになっている.

 まず,一貫したコンセプトとして,「リハビリテーション医学・医療は,運動器の機能回復だけでなく,社会活動をも見据えた治療や支援を行い,人の営みの基本である活動を賦活化し,QOLを最良にすることを目的としていること」が,総論を含めたテキスト全体で丁寧に述べられている.そして,何よりも「具体的な運動療法のプロトコルが,カラーを用いた図を駆使し,的確かつ大変わかりやすく解説されている」ことが大きな特徴である.読者は図をみるだけで,具体的なリハビリテーション診療の内容と注意すべきポイントが容易に理解できる.さらに,項目ごとに「リハビリテーション診療のポイント」が明記されており,実践を主眼においた素晴らしいテキストである.リハビリテーション科医のみならず,整形外科医やリハビリテーション専門職・看護師など運動器医療にかかわる医療スタッフ全てに参考になる仕様になっている.

INFORMATION

第13回セメントTHAセミナー フリーアクセス

ページ範囲:P.309 - P.309

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目次 フリーアクセス

ページ範囲:P.234 - P.235

欧文目次 フリーアクセス

ページ範囲:P.236 - P.236

次号予告 フリーアクセス

ページ範囲:P.339 - P.339

あとがき フリーアクセス

著者: 松本守雄

ページ範囲:P.342 - P.342

 新型コロナ感染症が本邦で初めて確認されてから3年が過ぎました.ワクチンや治療薬がこれまでにないスピードで開発され,変異を繰り返すウイルスに対して一定の有効性を示し,致死率も季節性インフルエンザとほぼ同等にまで下がってきました.政府により今年の5月には感染症法上の二類から五類への引き下げも決定されました.しかし,われわれ医療機関にとってはウイルスの感染力が大幅に低下しない限りはコロナ対応に手を抜くことができず,緊張の日々が続くことは変わりません.特に問題となるのが院内クラスターへの対応です.入院中の患者がコロナ陽性になった場合,遅滞なくトリアージを行い他の患者への二次感染を防止する必要があります.これに失敗すると大規模クラスターへと進行し,病院機能に大きな支障を来すのみならず多くの患者の方々に大変なご負担をおかけすることになります.一次対応後に「二次」を防ぐことは極めて重要です.

 本号の特集では石橋英明先生に「二次骨折予防に向けた治療管理」をテーマにご企画をいただきました.高齢化が急速に進行する本邦において脆弱性骨折患者も増加していますが,初発骨折後の二次骨折のリスクが高いことが認識されています.これに対して多職種による評価と予防を積極的に行い,骨折の連鎖を防ぐ取り組みが推奨されています.また,関係各位のご努力の結果,これらの取り組みに対する診療報酬上の加算も付与されることになりました.本特集ではこの領域のエキスパートの方々にテーマに関連する項目について大変詳細かつわかりやすくご解説をいただきました.

基本情報

臨床整形外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1286

印刷版ISSN 0557-0433

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