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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科58巻3号

2023年03月発行

文献概要

境界領域/知っておきたい

職域でみられる末梢神経障害—化学物質取扱いによる業務上疾病

著者: 松岡雅人1

所属機関: 1東京女子医科大学医学部衛生学公衆衛生学講座環境・産業医学分野

ページ範囲:P.310 - P.313

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はじめに

 末梢神経障害は日々臨床の場において遭遇することの多い疾患の1つである.このなかには,業務に起因するものが含まれており,業務上疾病に該当するかどうかの検討が必要になることがある.業務上疾病は,労働基準法施行規則(労基則)第35条に基づく労基則別表第1の2に定められており,「職業病リスト」と呼ばれる.このうち,末梢神経障害または運動器障害を来すものとして,「身体に過度の負担のかかる作業態様に起因する疾病」の「さく岩機,鋲打ち機,チェーンソー等の機械器具の使用により身体に振動を与える業務による手指,前腕等の末梢循環障害,末梢神経障害又は運動器障害」(第3号3),「電子計算機への入力を反復して行う業務その他上肢に過度の負担のかかる業務による後頭部,頸部,肩甲帯,上腕,前腕又は手指の運動器障害」(第3号4)と「化学物質等による疾病」の「厚生労働大臣の指定する単体たる化学物質及び化合物(合金を含む.)にさらされる業務による疾病であって,厚生労働大臣が定めるもの」(第4号1)がある.

参考文献

1) 厚生労働省.労働基準法施行規則第35条専門検討会報告書.令和4年10月7日.https://www.mhlw.go.jp/content/11201000/000997779.pdf(2022年12月23日アクセス)
2) 日本産業衛生学会許容濃度等に関する委員会.許容濃度の暫定値の提案理由(2013年度),鉛および鉛化合物(アルキル鉛化合物を除く).産衛誌2013;55(5):214-21.
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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