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子どもの「痛み」がわかる本—はじめて学ぶ慢性痛診療 フリーアクセス
著者: 倉澤茂樹1
所属機関: 1福島県立医科大学・作業療法学
ページ範囲:P.314 - P.314
子どもの痛み体験は,身体的反応だけでなく,不安や恐怖など情動体験として認知形成され,長期的な影響も引き起こす.この事実はわが国の児童・思春期医療において十分に認識されていない.処置時の痛みは「一瞬だから」と軽視され,「そのうち慣れる」と放置されることも少なくない.リハビリテーションに携わるセラピストも例外ではない.新生児集中治療室ではカテーテルやモニター機器が装着され,臓器発達の未熟な新生児は動くことにさえ苦痛を伴うだろう.術後早期から開始されるリハビリテーションにおいて“機能回復”を優先するあまり,痛みを蔑ろにしていないだろうか? エビデンスとともに示される事実によって,われわれセラピストは内省する機会を得るだろう.
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