増大号特集 できる整形外科医になる! 臨床力UP,整形外科診療のコツとエッセンス
column
長期ビジョンと多様性,そして気遣い
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著者:
大鳥精司1
所属機関:
1千葉大学大学院医学研究院整形外科学
ページ範囲:P.547 - P.547
整形外科で取得すべき考え方,手技,また手術方法はさまざまです.多くの若手と接していると,1)手術などの多くの手技を身に着けるための最短のコース,2)最も流行している手技が最良だと考えていることが多いような気がしております.多くの整形外科をリードしている医師たちは必ず回り道をしております.何回も失敗したり,基礎研究や留学などしたり,その中からかけがえのない財産を習得し臨床に生かしております.整形外科の手技に正解はありません.多くの多様性があり,昔,絶滅危惧種的な手術も,少し視点を変えるだけで,今は大流行りというのも多くあります(例:腰椎前方固定,高位脛骨骨切り術).私の師匠,守屋秀繁名誉教授が仰るには,“大鳥な,流行ものに飛びつく医者ほど,くだらない.どんなにつまらなくみえても,10年継続した医師ほど評価される”,“なるほど”と思う次第です.
1本の木が倒れたらそれで終わりです.しかし何本の何種類の木々はどんな災害に遭遇しても必ず残る木があるはずです.私のもう1人の師匠,高橋和久名誉教授はいつも,“若い人ほど優秀です.いかに上手に育てるかが大事ですよ.また教室として1つのテーマしかもたないほどもろいものはない.多様性が重要です”と.高橋先生の“若手の育成と多様性の認容”は私の現在の根底に流れているコンセプトであります.