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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科58巻5号

2023年05月発行

文献概要

増大号特集 できる整形外科医になる! 臨床力UP,整形外科診療のコツとエッセンス 3章 フォロー スペシャリストからのメッセージ

学位研究のススメ

著者: 加畑多文1

所属機関: 1金沢大学大学院医薬保健学総合研究科整形外科学

ページ範囲:P.717 - P.718

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●学位を取らないデメリットはあるか?

 学位を取得しない医師が増えてきている.厳密に言うと,医療系に限らず他の分野においても学位の取得者数は減少傾向にあるらしい1).筆者が医師免許を取得した頃は,学位を取得することが当然の時代であった.しかしながら,当時から学位は「足の裏にひっついた米粒」みたいなもので,取らないとなんとなく落ち着かないが,取ったからといって何か変わるものでもない,そんなようなものだと先輩から教わった.確かに自分と同世代の医師をぐるりと見渡すと,学位の有無で給料に大きな差があるというわけでもなく,ポジションに優劣があるというわけでもなく,学位を取らなかったことに関するデメリットは表向きにはさほどないように思える.

 学位を取得するには最低でも数年の研究期間を要するし,大学院の学費や研究に要する出張費,論文の投稿費などもバカにならない.収入という点でも,学位研究をしている最中は限られてしまうことが多い.逆に,学位を取得するのに要する期間を臨床に没頭すればかなり臨床医としては成長するだろう.研究内容について考えてみても,実際のところ,一整形外科医の学位研究が世の中を変えるような画期的研究になることはほとんどない.山中伸弥先生のiPS細胞の例は例外中の例外である.そう考えると,学位を取得することのメリットって一体何なんだろうとすら思えるようになってくる.学位の価値が不明瞭だからこそその取得率が下がっているので,今の損得勘定のはっきりした若い医師には確かに魅力的には映らないのだろう.

参考文献

1) 科学技術・学術政策研究所(NISTEP).科学技術指標2021.学位取得者の国際比較.https://www.nistep.go.jp/sti_indicator/2021/RM311_34.html(2022年12月27日アクセス)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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