文献詳細
増大号特集 できる整形外科医になる! 臨床力UP,整形外科診療のコツとエッセンス
3章 フォロー スペシャリストからのメッセージ
文献概要
●緒言
Yangら1)は手部の微小血管造影による研究を行い,手指背側にも手指掌側部と同様に長軸方向の動脈が存在することを発表し,加えてそれらの動脈を栄養血管とする血管柄付き有茎組織移植の可能性を示唆した.手指背側に存在するこれらの動脈は,いくつかの動脈枝が互いに交通枝を出し合うことによって動脈網を形成している.またこれらの動脈は手指の主要動脈ではないため,この動脈を血管茎とする皮弁を採取したとしても手指の血行障害を起こさないという利点がある.また背側中手動脈は骨間筋および中手骨にも分枝しているため,背側中手動脈を血管茎として血管柄付き筋肉,骨移植も可能である.背側指動脈網,背側中手動脈を血管茎とする皮弁は,手指の軟部組織外傷の治療に大変有用である.
本稿では背側指動脈網もしくは背側中手動脈を栄養血管とした有茎血管柄付き組織移植の結果を報告し,かつその手術手技上の問題点についても考察する.
Yangら1)は手部の微小血管造影による研究を行い,手指背側にも手指掌側部と同様に長軸方向の動脈が存在することを発表し,加えてそれらの動脈を栄養血管とする血管柄付き有茎組織移植の可能性を示唆した.手指背側に存在するこれらの動脈は,いくつかの動脈枝が互いに交通枝を出し合うことによって動脈網を形成している.またこれらの動脈は手指の主要動脈ではないため,この動脈を血管茎とする皮弁を採取したとしても手指の血行障害を起こさないという利点がある.また背側中手動脈は骨間筋および中手骨にも分枝しているため,背側中手動脈を血管茎として血管柄付き筋肉,骨移植も可能である.背側指動脈網,背側中手動脈を血管茎とする皮弁は,手指の軟部組織外傷の治療に大変有用である.
本稿では背側指動脈網もしくは背側中手動脈を栄養血管とした有茎血管柄付き組織移植の結果を報告し,かつその手術手技上の問題点についても考察する.
参考文献
1) Yang D, Morris SF. Vascular basis of dorsal digital and metacarpal skin flaps. J Hand Surg Am 2001;26(1):142-6.
2) Kostopoulos E, Agiannidis C, Konofaos P, et al. Predictable pattern digital artery perforator flap:an alternative concept in digital reconstruction. Hand (N Y) 2016;11(1):88-96.
3) Braga-Silva J. Anatomic basis of dorsal finger skin cover. Tech Hand Up Extrem Surg 2005;9(3):134-41.
4) Kakinoki R, Ikeguchi R, Matsumoto T, et al. Reconstruction of a phalangeal bone using a vascularised metacarpal bone graft nourished by a dorsal metacarpal artery. Injury 2008;39 Suppl 4:25-8.
5) Kakinoki R, Ohtani K, Hashimoto K, et al. Use of dorsal skin islands as firebreak grafts to the palm to reduce the recurrence rate of dupuytren's contracture. Tech Hand Up Extrem Surg 2018;22(3):110-5.
6) Small JO, Brennen MD. The first dorsal metacarpal artery neurovascular island flap. J Hand Surg Br 1988;13(2):136-45.
掲載誌情報