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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科58巻6号

2023年06月発行

文献概要

境界領域/知っておきたい

血友病性関節症の現状と課題

著者: 鈴木仁士1 酒井昭典1

所属機関: 1産業医科大学整形外科学

ページ範囲:P.828 - P.830

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はじめに

 血友病は最も代表的な先天性凝固異常症である.令和3年の厚生労働省委託事業の「血液凝固異常症全国調査」では血友病Aが5,124例,血友病Bが1,091例登録されている1).血友病Aでは第Ⅷ因子の活性が,血友病Bでは第Ⅸ因子の活性が低下〜欠乏するために,幼少期からさまざまな出血症状を来すのが特徴である.代表的な出血部位として皮下,筋肉内および関節内が挙げられる.凝固因子活性が<1%であるものを重症,1〜5%であるものを中等症,5%<であるものを軽症血友病という.

 重症および中等症の血友病症例では関節内出血が繰り返されることで関節内の軟骨における細胞外マトリックス(プロテオグリカンなど)の変性を来し,関節軟骨が障害される.さらに関節内出血により関節内の滑膜炎が持続すると,炎症性サイトカインの影響で骨破壊も見られるようになり血友病性関節症に至ると考えられている.

 現在は欠乏もしくは不足している凝固因子を定期的に製剤で補充する定期補充療法の普及により関節内出血や血友病性関節症を来す症例の数は減少傾向にあるものの,20代,30代以降になると血友病性関節症を来している症例も少なくない.血友病性関節症に関する治療や課題について本稿で概説する.

参考文献

1) 厚生労働省委託事業.血液凝固異常症全国調査—令和3年度報告書.2022.
edition. Haemophilia 2020;26(Suppl 6):1-158.
3) 竹谷英之(編著).厚生労働省行政推進調査事業「非加熱血液凝固因子製剤によるHIV感染血友病等患者の長期療養体制の構築に関する患者参加型研究」分担研究.「血友病患者のQOLに関する研究」令和2年度調査報告書.2021.
4) Mingo-Robinet J, Odent T, Elie C, et al. Open synovectomy of the ankle joint in young haemophiliacs:mid-term to long- term results of a single-centre series of 32 procedures. Haemophilia 2015;21(4):e306-11.
5) de l'Escalopier N, Badina A, Padovani et al. Long-term results of ankle arthrodesis in children and adolescents with haemophilia. Int Orthop 2017;41(8):1579-84.
6) Li Z, Feng B, Du Y, et al. Complications of total knee arthroplasty in patients with haemophilia compared with osteoarthritis and rheumatoid arthritis:A 20-year single-surgeon cohort 2020;26(5):861-6.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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