書評
感染対策60のQ&A
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著者:
山田和範12
所属機関:
1中村記念病院薬剤部
2北海道科学大・薬学
ページ範囲:P.1257 - P.1257
コロナ禍を経て,全ての医療従事者は以前にも増して,正しい知識に基づいた感染対策を実践することを求められるようになった.得てして,施設の感染対策では現場と管理側スタッフの行動が乖離していることがある.真面目な管理スタッフほど,無意識に正論を振りかざし,現場スタッフは「感染は現場で起きているんだ!」と言いたい気持ちをこらえ,独自のルールを運用してささやかな抵抗をしていたりする.両者がめざすゴールは同じで「感染から患者さんと医療スタッフを守りたい」はずなのだが…….そしてこの小さな綻びを突いて,感染症やアウトブイレクが発生したりする.このような「現場と管理側スタッフとの行動の乖離」は,突き詰めれば両者の視点がズレていることが原因である.このズレを解消する糸口の1つとなるのが本書である.
一般的にHow to本の記載は,最新で充実した施設が前提となっていることが多く,そうではない(経年が目立ち設備面でも恵まれていない)施設では,「そこまでできないなぁ」と諦めがちである.しかし,本書は,充実した環境での対応のみならず,現在のセッティングでできることにも言及しており,どんな施設・環境であっても感染対策に取り組む上での羅針盤になる.そして,押さえるべきポイントはしっかりと押さえられており,妥協がない部分は小気味よい.