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著者: 松山幸弘
所属機関:
ページ範囲:P.442 - P.442
今回は,整形外科医のわれわれが時に診断に苦慮する脊椎関節炎の特集を門野夕峰先生が企画してくださった.整形外科専攻医にはぜひ知っていただきたい疾患概念である.
脊椎関節炎は付着部炎を共通する特徴とする慢性炎症性関節疾患群で,体軸性関節炎と末梢性関節炎に大別される.体軸性で有名なものは強直性脊椎炎があり,また末梢性では乾癬性関節炎,炎症性腸疾患に伴う関節炎,反応性関節炎がある.関節炎の発症・病態は,靱帯付着部に生ずる生体力学的ストレスによる組織損傷に対する過剰な免疫応答が誘導され,骨破壊と骨新生を伴う関節障害が進行する.病態にはIL-23/IL-17経路とTNF-誘導が重要とされている.したがって,本邦では2010年にTNF阻害薬が強直性脊椎炎に対して承認され,続いてIL-17阻害薬とJAK阻害薬が強直性脊椎炎およびX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎に対して承認された.これらの分子標的薬の登場により,体軸性脊椎関節炎患者の症状や炎症をコントロールできるようになった.
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