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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科59巻5号

2024年05月発行

文献概要

増大号特集 絶対! 整形外科外傷学 1章 整形医局(自習室)

—手術に必要なサージカルアプローチエッセンス—手関節

著者: 安部幸雄1

所属機関: 1済生会下関総合病院整形外科

ページ範囲:P.495 - P.501

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Point!

 手関節には多数の腱,神経,血管が存在し,その展開には複雑な解剖構造を頭に入れておくことが重要である.アプローチごとのポイントは以下のとおりである.

●掌側アプローチ:①神経,血管,腱に注意,②橈骨遠位端骨折(DRF)に対しては橈側手根屈筋腱(FCR)と橈骨動脈の間から展開,③掌側月状骨窩(VLF)骨片へは皮切を尺側遠位に延長する.

●背側アプローチ:①背側正中切開,②橈骨,尺骨神経背側枝に注意,③伸筋支帯は閉創時の再建を見越しての切離が必要,④手関節内へはdorsal ligament-sparing capsular incisionあるいはwindow approachにて進入する.

●尺側アプローチ:①尺骨神経背側枝は尺骨遠位端より平均6〜7cm中枢で尺骨神経より分岐して,尺側手根屈筋腱(FCU)の深層尺側を走行する.そして尺骨遠位端より約1cm遠位で背側へ横切る.②尺骨遠位骨幹部尺側縁はinternervous planeである.

●関節鏡アプローチ:鏡視には適切な位置へのポータル作成が重要である.ポータルのほとんどが背側ポータルであり,作成にあたっては伸筋腱コンパートメントの理解が必須である.

橈骨手根関節(RCJ)では伸筋腱コンパートメントの3-4,4-5あるいは6R,手根中央関節(MCJ)ではこれらの約1cm遠位にポータルを作成する.遠位橈尺関節(DURJ)の鏡視には4-5ポータルの約1cm中枢の橈骨尺側切痕と尺骨頭の間に作成する.

*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2027年5月末まで)。

参考文献

1) 安部幸雄(編).橈骨遠位端骨折を究める—診療の実践A to Z.東京:南江堂;2019.p.185.
2) Ruby LK. Arthrotomy. In:Cooney WP, Linscheid RL, Dobyns JH (eds). The wrist. Diagnosis and Operative Treatment. St. Louis:Mosby;1998. p. 126-68.
3) Wolfe SW, Kakar S. Carpal instability. In:Wolfe SW, Pederson WC, Kozin SH, et al (eds). Green's Operative Hand Surgery, 8th ed. Philadelphia:Elsevier;2021. p.488-562.
4) 安部幸雄.橈骨遠位端骨折に合併する尺骨茎状突起骨折・関節内軟部組織損傷の治療.整形外科Surg Tech 2014;4(2):195-200.
5) Abe Y, Doi K, Hattori Y, et al. A benefit of volar approach for wrist arthroscopy. Arthroscopy 2003;19 (4):440-5.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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