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増大号特集 絶対! 整形外科外傷学 1章 整形医局(自習室)
—手術に必要なサージカルアプローチエッセンス—手関節
著者: 安部幸雄1
所属機関: 1済生会下関総合病院整形外科
ページ範囲:P.495 - P.501
文献購入ページに移動手関節には多数の腱,神経,血管が存在し,その展開には複雑な解剖構造を頭に入れておくことが重要である.アプローチごとのポイントは以下のとおりである.
●掌側アプローチ:①神経,血管,腱に注意,②橈骨遠位端骨折(DRF)に対しては橈側手根屈筋腱(FCR)と橈骨動脈の間から展開,③掌側月状骨窩(VLF)骨片へは皮切を尺側遠位に延長する.
●背側アプローチ:①背側正中切開,②橈骨,尺骨神経背側枝に注意,③伸筋支帯は閉創時の再建を見越しての切離が必要,④手関節内へはdorsal ligament-sparing capsular incisionあるいはwindow approachにて進入する.
●尺側アプローチ:①尺骨神経背側枝は尺骨遠位端より平均6〜7cm中枢で尺骨神経より分岐して,尺側手根屈筋腱(FCU)の深層尺側を走行する.そして尺骨遠位端より約1cm遠位で背側へ横切る.②尺骨遠位骨幹部尺側縁はinternervous planeである.
●関節鏡アプローチ:鏡視には適切な位置へのポータル作成が重要である.ポータルのほとんどが背側ポータルであり,作成にあたっては伸筋腱コンパートメントの理解が必須である.
橈骨手根関節(RCJ)では伸筋腱コンパートメントの3-4,4-5あるいは6R,手根中央関節(MCJ)ではこれらの約1cm遠位にポータルを作成する.遠位橈尺関節(DURJ)の鏡視には4-5ポータルの約1cm中枢の橈骨尺側切痕と尺骨頭の間に作成する.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2027年5月末まで)。
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