icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科59巻5号

2024年05月発行

文献概要

増大号特集 絶対! 整形外科外傷学 column

これからの技能習得に思いを馳せる

著者: 野田知之12

所属機関: 1川崎医科大学運動器外傷・再建整形外科学教室 2川崎医科大学総合医療センター整形外科

ページ範囲:P.574 - P.574

文献購入ページに移動
 医師にも時間外労働の上限規制が適用されるいわゆる「働き方改革」がいよいよ2024年4月から施行されます.労務管理の適正化やタスクシフトの推進などが期待される一方で,自己研鑽の定義や取り扱い,非常勤派遣医師の減少の懸念など多くの未解決な問題を抱えたうえでのスタートとなりそうです.緊急対応や緊急手術を余儀なくされるわれわれ整形外傷医の「働き方」も大きく影響を受けそうで,十分な人員で業務効率化を図った施設でないと立ち行かなくなる可能性も容易に想像されます.

 さて一方で,重度の関節内骨折や開放骨折,骨盤・寛骨臼骨折など複雑な整形外傷の治療においては高度な専門知識と手術手技が必要とされ,その習得は決して一朝一夕には成し得ません.「働き方改革」と「高度な技能習得」,これら相反する事象をいかにして効率的に両立させるか,ということが今後ますます重要になってきます.ブラック労働このうえない自身の若い頃を美化するつもりは毛頭ありませんが,圧倒的な数の症例を否応なく経験し,その後の糧とすることができていったのは,凡庸な自身にとって貴重なことでした.昔も今も時代や環境がどうであれ,トップ(あるいはボトム)クラスの人の振る舞いや伸び方には大きな差はないと考えますが,かたや大多数を占める中間層の成長は環境やシステムに大きく左右されます.そういう意味ではこれを機に,これらの人を叱責する,あるいは発表や論文作成などを命じることが憚られるシステムになっていくことも懸念されます.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら