icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科59巻6号

2024年06月発行

文献概要

書評

患者の意思決定にどう関わるか?—ロジックの統合と実践のための技法 フリーアクセス

著者: 秋山美紀1

所属機関: 1慶應義塾大学・環境情報学部/医学部大学院健康マネジメント研究科

ページ範囲:P.837 - P.837

 「膵臓のがんが,肝臓のあちこちに転移してます」.今年7月,都内のがん専門病院で,母が宣告を受けた.説明を聞いた母の口から最初に出てきた言葉は,「先生,今年パスポートを10年更新したばかりなんですけど……」だった.説明した医師も,隣にいた私も意表を突かれ,しばしの沈黙となった.

 著者の尾藤誠司氏は,ロック魂を持った総合診療医であり,臨床現場の疑問に挑戦し続けるソリッドな研究者でもある.諸科学横断的な視座から探求し続けてきた研究テーマは,臨床における意思決定(注:医師決定ではなく意思決定)である.尾藤氏は約15年前に『医師アタマ—医師と患者はなぜすれ違うのか?』(医学書院,2007)を出版し,誤ったエビデンス至上主義がはびこりつつあった医学界へ一石を投じた.その数年後には一般向けに『「医師アタマ」との付き合い方—患者と医者はわかりあえるか』(中公新書クラレ,2010)という新書を出した.帯に「医師の取扱説明書」とあるとおり,患者・市民が医師の思考パターンを理解し,良好な関係を築けるような知恵が詰まったわかりやすい書籍だった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら