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特集 変形性関節症に対するBiologics
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著者: 齋藤琢1
所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科 感覚・運動機能医学講座整形外科学
ページ範囲:P.1071 - P.1071
筆者はOAの分子病態の研究をライフワークとして取り組んできたが,その縁で8年前から培養自家脂肪由来幹細胞を用いた治療の臨床と基礎研究にも取り組んできた.当初は疑わしさでいっぱいであったが,患者の経過や臨床成績(山神良太先生の項を参照)を目の当たりにし,考えは一変した.筆者の研究室では作用機序の解明にも取り組んでいるが,本治療が滑膜の構造的改変を介してOAの病態を修飾することも明らかになりつつある.しかしながら,PRPや幹細胞治療の効果には個人差が大きく,OAの病態の多くが未解明なこともあって,適応についてはいまだ議論の余地がある.自由診療であるため,高額な治療費もしばしば話題となる.また治験のような厳格なデザインでの大規模臨床研究が実施されていないことへの批判の声も多いが,再生医療等製品には非常に高い安全性基準が設定されており,結果として細胞製品はいずれも自由診療での一般的な金額をはるかに上回る価格帯となっているため,OAのようなcommon diseaseに関して再生医療等製品は医療経済的に現実的なカテゴリーではなくなっている.自由診療としての素地が用意され,保険収載というインセンティブが期待できない状況に鑑みると,事態はそう単純ではないことは理解できよう.
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