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多遺伝子リスクスコア(PRS)
著者: 岩見卓朗12 寺尾知可史1
所属機関: 1理化学研究所生命医科学研究センターゲノム解析応用研究チーム 2慶應義塾大学医学部整形外科学教室
ページ範囲:P.1136 - P.1140
文献購入ページに移動遺伝子変異には一塩基多型(single nucleotide polymorphism:SNP),欠失,挿入,マイクロサテライト,コピーナンバーバリエーションなどさまざまな種類が存在するが,遺伝子解析で最も用いられているのはSNPである.SNPとは周辺配列が同じであるものの,1カ所の塩基が異なる変異であり,一般集団において1%以上の頻度で起こる比較的頻度の高い変異である(図1).
疾患や形質とSNPとの関連を網羅的に調べ,疾患感受性遺伝子領域の同定を主目的としたゲノムワイド関連解析(genome-wide association study:GWAS)が2000年代から盛んに行われるようになり,これまでに数多くの疾患感受性領域が同定されてきた.近年では,GWASにおいて得られた各SNPの統計量を用いた遺伝統計学的解析(post GWAS解析)が行われており,多遺伝子リスクスコア(polygenic risk score:PRS)が疾患の予防や個別化医療において,GWASの結果を実臨床応用する鍵として注目されている.本稿では,PRSの概要,構築手法,実臨床応用への展望について触れたい.
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