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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科6巻2号

1971年02月発行

文献概要

論述

筋電図からみた肩運動について

著者: 菅原黎明1 佐藤孝三1 佐野精司1 森脇靖博1 玉井績1 峰岸孝年1 安藤和彦1 三瓶晴雄1 柴野紘一1 小寺昭宏1 岡村征一1 野口雄之1 宇田川康1

所属機関: 1日本大学医学部整形外科学教室

ページ範囲:P.92 - P.101

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緒言
 われわれの手は人間の歴史と文化を生み出し,それを支え,人類を繁栄へと導びいてきた.この繊細にして調和のとれた手の機能は,十分な運動域をもつ肩運動〔主として肩関節運動をいうが,肩甲骨,鎖骨運動もあわせ意味している〕と肘運動のコントロールによつて目的とする動作を行ない得るのである.とくに大きな運動域をもつ肩運動は複雑な動力システムと制動システムからなりたつている.肩運動における動態分析は古くより,解剖学的見地からの検索がなされているが,1944年にいたりInman, Saunders & Abbottらがはじめて筋群の活動動態を筋電図学的に検索することにより,Kinesiologyの研究に一大転機をもたらした.かように肩運動に関与する筋群の活動動態が筋電図学的に検索されるにおよんで,従来推測の域を出なかつた筋の機能が漸次明らかにされてきている.しかしながら肩運動の運動形態は多様であるために複雑な機能をもち,関与筋群の協調動態に関しては概念的に論じられているだけで,いまだ十分に解明されていない.とくに肩関節運動に重要な役割を占めると考えられている,いわゆるRotator-cuff-musclesの機能に関しては推察の域を出ていない.このような観点に立脚して,われわれは肩運動のパターンと筋電図とを16mm映画により同一フィルム上に同時記録することにより,肩運動に関与する筋群の協調動態を経時的に適確に分析しようと考えた.すなわちこの方法として筋内埋入型電極を用い,各筋の活動電位を8チャンネル誘導筋電計にて同時記録し,その際の筋電図と肩運動のパターンとを教室考案による2現象同時撮影装置を用いて16mm映写機にて同一フィルム上に同時記録し,両者の相関性をFilm-motion-analyzerを用いて比較検討した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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