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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科6巻2号

1971年02月発行

文献概要

論述

圧迫プレート法の基礎

著者: 杉本侃1

所属機関: 1大阪大学医学部付属病院特殊救急部

ページ範囲:P.102 - P.109

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はじめに
 骨折の治療にはじめて観血的な方法がとられたのはすでに前世紀のことである.これはしかし消毒法の発見以前のことであり歴史的な興味をひくのみで,近代医学の立場からいえば,今世紀の始めに象牙を内副子として使用したドイツの外科医Fritz Koenigをまずあげるのが妥当であろう.彼はのちに骨折の観血的手術の体系づけを試み1932年には成書Operative Chirurgie der Knochenbrücheを発表している.ほぼ同時代にLambotteは金属の内副子を使用しプレートや螺子によつて骨折の治療を試みた.ここに今日われわれが骨折の手術に使用するほとんどすべての器具の原型をみることができる.しかしこのように骨折を手術によつて治療する試みは当時にあつてはあくまでも例外的であつて,大勢は保存的治療が主流であり,なかでもギプス固定がその中心でどのように整復してどんなふうにギプスを巻くかが骨折治療の中心的な問題であつた.この時代においてはたとえ手術によつて骨折を整復固定しても結局は例外なくギプス固定を付加するのが普通であり,観血的治療は保存的治療の補助的手段にすぎなかつた.ギプスのない整形外科はないという言葉があるがまさにそのとおりでギプスなしの骨折治療はほとんど考えられないことであつた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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