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雑誌目次

雑誌文献

臨床整形外科6巻3号

1971年03月発行

雑誌目次

骨腫瘍カラーシリーズ

35.Renal carcinoma (metastatic)/36.Carcinoma of the thyroid (metastatic)

著者: 骨腫瘍委員会

ページ範囲:P.173 - P.176

症例43:71歳男.
昭和43年9月誘因なく右膝付近に疲れをおぼえ,10月,歩行時に右大腿下部に疼痛を訴える.11月接骨院を訪れたが軽快せず,12月近医にてX線上骨の異常を指摘される.

視座

間違いへの反省

著者: 佐藤孝三

ページ範囲:P.177 - P.177

 医師は患者から健康回復に関する一切を委ねられる.しかし患者の状態は千差万別であるから,ある者は全快し,ある者は障害をのこし,ある者は死亡する.医師はその間に最善と思われる治療を施し,あとは天命に委ねる以外にないが,いかなるときでも医師自らの手によつて患者の健康をそこなうことがあつてはならない.
 しかしそうはいうものの,医師も人間であるから間違いをおこすことがある.その間違いのおこし方にはふた通りあるようである.その1つは知つていながらうつかりしておこす間違いであり,他の1つは知らずにおこす間違いである.前者は周到な注意によつて防ぐことができ,後者は勉強を重ねることによつて防ぐことができる.いずれも知識および経験の量と患者への責任感とが土台であり,これらに対する反省と不断の努力によつてのみ間違いを減らすことができる.

座談会

乳幼児先天股脱の手術的療法

著者: 岩原寅猪 ,   坂口亮 ,   香川弘太郎 ,   山田勝久

ページ範囲:P.178 - P.200

 岩原(司会) きようはお忙しいところを,また遠いところをありがとうございました.世の中には.先天股脱の,ことに手術経験をたくさんもつた人も,あるいは意見のある人も少なくないと思いますけれども,特に今日は岩原の注文で,御三方に出席いただくようにお願いしたもので,その点あらかじめ御了承いただきたいと思います.

論述

手作業の習熟過程における中枢の関与について

著者: 梁瀬度子

ページ範囲:P.201 - P.210

緒言
 従来,手指筋の動作学的研究は,特定作業時の熟練者と未熟練者との動作分析によつて,より合理的な動作の追求をする形式のものが,主流をなしていた.しかし,この習熟という問題は,単なる動作学的分析対比だけでは解決しえない内容を含んでいる.思うに,習熟によつて合理的な動作が半ば不随意的に行なわれるには,必ずや中枢機構の関与があるに違いない.ここに著者は巧緻な反復手作業であるレース編みをとりあげ,熟練者と未熟練者との動作をkinesiologicに検討したうえ,習熟過程における脳機能の変化をも追求した.脳機能の検討には脳波と筋電図を併用したところ,そのいずれもが条件反射と関連する興味深い知見を得たので,その結果を報告する.

指の屈伸運動時におけるintrinsic musclesの働きについて

著者: 笹尾満 ,   渡辺好博 ,   田島達也

ページ範囲:P.211 - P.218

いとぐち
 手指の屈伸運動はintrinsic musclesとextrinsic musclesの協同運動によりはじめて完全にそして円滑に行なわれると考えられている。
 実際に,麻痺や腱損傷により手指屈伸運動に関与する,いずれかの筋が機能を営まない場合には円滑な屈伸運動は不可能となつてしまう.

低濃度フェノール溶液による神経ブロック法(3)—薬理および組織学的考察

著者: 高浜晶彦 ,   原武郎 ,   和才嘉昭

ページ範囲:P.219 - P.224

緒論
 すでに著者らは,低濃度フェノール溶液を用いて,末梢神経遮断術を行なうとき,痙性は比較的長い期間にわたつて除去され1),その痙性除去の過程において,細い神経線維ばかりでなく,太い運動神経線維の損傷も合併することを,筋電図学的に示唆した2)
 神経ブロックを施行したのち,痙性はふたたび出現するようになり,臨床的にも,電気生理学的にも,損傷神経の回復の形態が,種々なる段階をもつて示される.そこで,低濃度フェノール溶液による,末梢神経線維の損傷程度ならびに,その様式と再生過程について,家兎を用いて組織学的に検索を行なつた.また手術的に神経を露出して,神経遮断術を行なう方法と,電気刺激端子付絶縁電極針を用いて,経皮的にブロックする方法との得失について論じ,フェノールの薬理的作用についても若干の考察をくわえた.

手術手技

閉鎖性髄内釘法と開放性髄内釘法の比較

著者: 平川寛 ,   宮脇晴夫

ページ範囲:P.225 - P.237

はじめに
 骨折治療の歴史のなかで髄内釘の出現ほど画期的なものはないのではなかろうか?管状のものをつなぐ方法として軸串法を用いることはおそらく有史以前からさまざまな器物に応用されていたと思われるが,これを生体の骨に対して行なう勇気とその進歩のために払われた努力は整形外科を学び,その臨床にたずさわる者にとつて輝かしい金字塔といつても過言ではあるまい.髄内釘は1940年Küntscher13,14)の発表以前にも1909年LambotteをはじめSmith-Petersen,Hey Groves,Kirschner,Rush,など多くの報告をみるがいわゆる髄内釘法の徹底した理論とその器具や術式について不断の研究を続けたのは,やはりProf. Gerhart Küntscherであり,ドイツ学派のみならず英米学派もしだいにその偉大な業績を認めつつあることはその後の外国文献15,20,22,26,27)をみても明らかである.一方おが国では1927年副島氏の髄内釘の考案をみるが,良質の不銃鋼がなかつたためか発展をみなかつたことはなんとしても惜しい気がする.Küntscherの髄内釘法は1941年光安,水野16)が本邦に紹介しその後神中,天児,宮城17),稲葉4)らの臨床例の報告,津下25),宮城,柏木6)らの動物実験など多くの報告をみる.しかし髄腔をreamingすることや閉鎖性髄内釘法については1961年以降,木下10),柏木6〜9),玉置24),天児1)荻原18,19)らの論文がある.

臨床病理講座

四肢軟部組織腫瘍の病理(3)—横紋筋肉腫,平滑筋肉腫

著者: 佐野量造

ページ範囲:P.238 - P.246

V.横紋筋肉腫
 従来の成書に記載されている横紋筋肉腫は巨細胞が出現し多形性細胞肉腫の像を示して横紋の証明されるもののみが本肉腫として扱われてきた.しかし,この形のものは成熟した横紋筋線維を模倣したものであつて,横紋筋肉腫のうちでは分化型に属するものである.
 未分化型横紋筋肉腫の存在が知られてきたのは腫瘍病理学の歴史のうちでも比較的最近のことである.結論からのべると,この未分化な横紋筋肉腫は小児の軟部組織腫瘍の第1位を占め,また筆者らの成人を含めた国立がんセンター過去8年間における悪性軟部組織腫瘍の集計においても脂肪肉腫に次いで多くを占めている.

カンファレンス

四肢腫瘍—これはなんでしょう(2)

著者: 骨腫瘍症例検討会 ,   金子仁

ページ範囲:P.247 - P.251

Ischiasが主訴
 A:この症例は診断学的には実はそんなに問題はなかつたのですが,手術法などについてお知恵を拝借できたらと思いまして,持つた来た症例です.
 症例は44歳の家庭の主婦です.主訴は腰痛と左側の座骨神経痛です.6年くらい前から誘因なく左側の座骨神経痛が出現し,注射など保存的療法を行ないましたが症状は一進一退し,3年くらい前から主訴の増強を見,歩行障害が出てまいりました.その間左側の座骨神経痛は依然としてあつたようでございます.

臨床経験

重度四肢機能障害者(身障福祉法により第一級と認定された者)のリハビリテーションの経験

著者: 松元司

ページ範囲:P.252 - P.256

緒論
 現在の国立伊東重度障害センターは,昭和27年4月に,国立伊東保養所の名のもとに,東日本で唯一の,身体障害者の傷痍軍人,軍属を対象とする国立援護施設として発足した.ついで,昭和29年8月に,身体障害者福祉法の改正により,対象を拡大して,障害程度一級に該当する者の厚生援護施設に変更された.さらに昭和37年に現在名に改称され,名実共に重度障害者のrehabilitationの施設として一貫した仕事をするようになつた.当センターで行なつているrehabilitationの内容に関しては,前医務課長金子1)が詳述してあるところである.その後,さらに改良し,その実施内容の充実をはかつている.
 本論文は,著者らが重度障害者のrehabilitationを実際に行なうにあたつて,われわれの経験した後述のごとき諸問題について調査を行ない,検討を加えたものである.すなわちわれわれは昭和39年9月に,従来行なつてきた障害者判定評価法,訓練内容,訓練方法等,rehabilitation指導要領を変更し質量共に,いつそう充実を計つた.その内容は,たとえば,入所者を能力に応じてクラス別に訓練グループを作つた.物理療法は,自動的なExerciseを中心とし,スポーツ訓練を取り入れた事,訓練時間を増加した等のことである。

基本情報

臨床整形外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1286

印刷版ISSN 0557-0433

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