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論述
ペルテス病の股関節造影
著者: 田村清1
所属機関: 1国立京都病院整形外科 2神戸市立中央病院
ページ範囲:P.269 - P.278
文献購入ページに移動ペルテス病の治療に関しては1970年Legg,Calve,Perthesの発表以来安静臥床,牽引,装具によつて大腿骨頭の免荷を計る保存的療法と,種々の理念に基づく手術的療法が試みられてきた.各々の治療法の成果を文献的に比較検討してみても,また私達の病院において過去十数年間に加療し3年以上のFollow-upを行なつた33例の結果13)を検討してみても治療法によつて骨頭修復期間の長短には明らかな差異は認められず,Katz7)も述べるごとくペルテス病治療の目的は今後いかにして壊死骨頭の再生過程における変形を減少させるかに向うものと思われる.
本疾患の病態生理に関しては1950年代以降のmicroangiographic studyを主とする幼弱骨端核および関節軟骨の研究がTrueta18),Mc Kibbin10などにより進められ10年前の教科書的記載とは一新された感である.Truetaはその大腿骨頭の発生史的研究においてintermediate phase(4〜7歳)の骨端栄養血管の特殊性に注目して,lateral epiphyseal vesselsの閉塞による本症の発症を唱えた.一方,実験的ペルテス病の研究もKemp9)は成犬,Salter15)は幼弱豚を用いてその関節内圧の亢進により大腿骨頭血行の途絶を招来する実験方法を採用して成果をあげてきた.Salterはさらに再血行形成に伴つた治癒過程として新生骨性骨端核が作られ,この部分が鋳型に対応してその形態を変える可塑性をもつことからbone of biological plasticityと呼称した.彼はまた壊死骨頭は物理学的に軟弱なものとして免荷を絶対のものとする従来の概念を否定し,ペルテス病の治癒過程において大腿骨頭を外転し臼蓋内に深く挿入して荷重するならば臼蓋は鋳型として働き骨頭の変形はきたさないことを実験的に示した.
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