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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科6巻4号

1971年04月発行

文献概要

臨床経験

Mckee-Farrar型人工股関節の経験

著者: 鳥巣岳彦1 安田博行1 原晃1 佐藤護彦1 野村茂治1 脇田吉樹1 小林邦雄1 中島啓雄1 大江浩1

所属機関: 1九州労災病院整形外科

ページ範囲:P.341 - P.349

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はじめに
 洋の東西を問わず破壊された関節を何らかの方法で再建し痛みなく動かせるものにできないものかと考えるのは外科医の昔からの夢である.股関節形成術の発達は1827年John Bartonが偽関節が疼痛なく動くことにヒントを得て人為的に偽関節を作ろうと試みたことに始まると言われる14).そして1865年Listerの制腐手術の創案を契機として数々の目覚しい業績が誕生した.しかし偽関節による関節形成術は肘,膝関節である程度の成功を得ているが,股関節では大腿骨頚部の吸収が起こり可動良好なる場合は支持性が悪く,歩容が悪く,また実用性はなくむしろ関節強直(良性肢位の)の方が好評であつた.Smith-Petersenのcup arthroplastyも大腿骨頚部の骨吸収に対する明確な答は出ていない.そこで関節全置換術が考えられるようになったが,その一つが最近のMckee-Farrar型の人工股関節である.金属の関節頭と臼蓋を有しこれを骨セメントで固定するこの方法には多々問題点もあろうが7)無痛性で支持性が良くしかも動くという3本柱でよく臨床経験に耐え,良い成功率を収めていることは事実である.
 Mckee型の今日の様な型の人工関節が生まれるまでにはおおよそ20年の実験と臨床経験とが繰返されているのであつて1940年に描いたモデルが10年後の1950年やつと実用化されているのである.1956年より骨頭にはThompson型が用いられる様になつたがその頃の手術成功率は53%であつたという.失敗例の多くがprosthesisの"ゆるみ"によるものであつたため,その頃より盛んに研究され出した骨セメントを巧みに取入れて1960年より骨セメントによる固定が行なわれるようになつたのである.これにより成功率は一段と向上し骨頭の大きさに二,三の改良を経て現在に至つているのである4,9〜11)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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