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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科6巻7号

1971年07月発行

文献概要

視座

骨接合術

著者: 天児民和12

所属機関: 1九州大学 2九州労災病院

ページ範囲:P.555 - P.555

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 本年の日本整形外科学会の最終のシンポジウムに骨折の手術的療法が選ばれた.これは大変意義深いものがある.なぜならばこの十数年来,骨折の治療が観血的療法に傾き,またその観血的療法も著しく変遷をしておるからである.それだけに次々と新しい技術が紹介され,また古い技術も刻々改善されているので,いずれがもつとも優れているか判断することは容易ではない.第2次世界大戦の勃発する直前に,Küntscherが髄内釘の技術を開発した.しかしその技術も年々改善され今日では骨髄のリーミングと閉鎖性術式にまで進歩し,本法の初期とは著しく変つてきた.それに並行して圧迫骨接合術が新しい技術として,わが国にも導入され,髄内釘に比して手術場の設備が比較的安くできるという利点もあり,また手術技術も多くの修錬を要しないという点から急速に広まつておる.このいずれが優れているのかそれは軽々しく論ずることはできない.Küntscherは3,000例を越える彼自身の経験によつて,かなり強い自信を持つておるようであるし,Müllerの圧迫骨接合術は,鏍子,金属板の製作業者と連絡を密にして,しばしば講習会を開催し,Müller自身も世界各国に出向いてこの方法の優秀性を説いておる.
 骨折治療にとつてもつとも大切なことは,骨折部を整復し,immobilizationを完璧にすることである.私も過去には偽関節は骨折片の間に介在する瘢痕組織を除去しないと治らないものと思つておつたが,瘢痕を残したままKüntscherの方法で閉鎖性に太い髄内釘を使用すると,骨折の癒合を妨げておつたと信じられていた瘢痕組織がいつの間にか骨化して,偽関節が癒合することを実際に経験した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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