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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科7巻2号

1972年02月発行

文献概要

装具・器械

関節全置換術における感染予防策—特に術者呼気排除装置について

著者: 長井淳1 伊藤鉄夫1

所属機関: 1京都大学医学部整形外科学教室

ページ範囲:P.151 - P.155

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はじめに
 最近,老人の股関節疾患に対する関節全置換術が広く行なわれ,その優れた結果が認められるとともに合併症についても十分な検討が必要となつて来た.合併症の内,最も注意しなければならないのは致死的となる可能性がある肺栓塞と,最終的には人工関節摘出術を必要とするdeep infectionの二つであると考えられる.人工股関節をセメントとともに体内に固定する方法は,大きい異物が体内に入るために,非常に感染を起こしやすく,かつ一旦感染を起こすと,全ての異物を除去してしまうまで,抗生物質を如何に大量に使用しても膿排出が止らない.従来の人工骨頭に較べ,固定性をよくするために骨セメントを用いると,①それが微細な海綿骨の網の目の間にまで浸透して生体と異物とが接する面積を飛躍的に拡大する事や,②骨セメントmonomerの細胞障害,③polymerに対するallergy反応(late reaction)および④polimerisation時の発熱等による人工関節周囲組織変性の結果,生体内に抵抗力の弱い個所が生じることなどが一般の手術より感染率を高める原因として考えられる.しかし,セメントによる固定性が良好なために,人工関節の完全無痛性が得られているのであって,セメントを用いない例より明らかに優れている(文献14).しかし,もし感染が起これば,手術は完全な失敗に終る.人工関節を除去しなければ創は治癒しない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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