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論述
Radiation myelopathyの3例
著者: 鈴木信正1 吉沢英造1 森川征彦2 田中幸房3
所属機関: 1慶応義塾大学医学部整形外科教室 2慶応義塾大学医学部病理学教室 3慶応義塾大学医学部放射線科
ページ範囲:P.359 - P.367
文献購入ページに移動近年,悪性腫瘍に対する放射線治療の進歩により,患者の生存期間が長くなるに伴つて,その副作用として,放射線脊髄症(radiation myelopathy)が増加しつつある.この疾患は,悪性腫瘍に対して行なわれる放射線照射後遅れて発症し,慢性で,しかも進行性の脊髄マヒ症状を呈するものである.1941年Ahlbomによつて初めて報告されて以来,国外では100例以上,国内でも10数例の報告があるが,本邦整形外科領域における本疾患に対する認識は,まだ十分とはいえない.その臨床的診断は必ずしも容易でなく,ともすれば原疾患の脊椎,脊髄転移と考えたり,変形性脊椎症や脊髄腫瘍と誤られがちである.原発腫瘍の脊髄,またはその周囲への転移あるいは浸潤と考え,すでに放射線によつて障害を受けている部位へ,さらに放射線の再照射を行ない,患者にとつて,悲惨な結果に終ることすらある.本疾患の本態を理解し,適切な対策がとられることが望まれる.われわれは最近,本症と考えられる3症例を経験したので,文献的考案を加えるとともに,その本態について述べてみたい.
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