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論述
軟骨腫および軟骨肉腫における核計測値と臨床像との関連
著者: 井村慎一1 田中重男1
所属機関: 1金沢大学医学部整形外科学教室
ページ範囲:P.438 - P.444
文献購入ページに移動Lichtenstein, Jaffeら(1943)は軟骨腫および軟骨肉腫の判定に際し,軟骨腫は小型の核を有する単核細胞であるのに対し軟骨肉腫の核および細胞は不整であり,また単核あるいは多核の大きな細胞がみられると報告している.この判定基準はその後Morton(1947),O'Neal, Ackermann(1952),Dahlinら(1956,1964)数多くの研究者により支持されているが,一方,Geschiekter(1949),Coley(1952),Middlemiss(1964)は躯幹,四肢長管骨に発生する軟骨腫は手術後再発を繰り返し,臨床的に悪性経過を示すことから分化した軟骨肉腫との鑑別は困難であるとしている.また分化型軟骨肉腫は未分化型軟骨肉腫に比べ臨床経過が長く生存率も高い.かかる主観的な組織像の判定と臨床経過が一致しないことは病理学者の間でしばしば問題となるばかりでなく,その治療法の決定に際しきわめて重要なことである.
さて腫瘍細胞を計測により客観的に腫瘍の悪性をあらわそうとする試みには,岡野(1953,1962,1963)の白血病,Atkin(1964)の子宮頸部癌,油川(1967)の骨巨細胞腫,御園生ら(1968)の腔塗抹標本による研究がある.
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