icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科7巻6号

1972年06月発行

文献概要

筋病理組織図譜・6

末梢神経損傷(切断)

著者: 桜井実1 黒沢大陸1

所属機関: 1東北大整形外科

ページ範囲:P.458 - P.458

文献購入ページに移動
 筋の神経支配が剥脱されると随意性収縮がなくなり萎縮が進行して行く.第1図は成人,腕神経叢損傷45日後の上腕二頭筋で臨床的に筋力は零でEMGでもfibrillationが認められた部分である.正常筋に比べて直径が一様に細くなり筋鞘核が増加し,かつ円形化し,第2図の強拡大では核の筋線維内への移動が観察される.
 H-E染色で内部構造の変化は認め難いが,コハク酸脱水素酵素染色で特異な円形の酵素活性脱落が発見される(第3,4図).これはすべての症例に出現する訳ではないがtarget fiberと称せられdenervationの際出現する特有の変化である.この症例では赤筋線維にのみ変化が認められる.注意深くH-E標本をみると第2図の中央のような変化が辛うじて捉えられることもある.第5図のようにphosphorylase活性も欠如していることからtargetの内部はsarcoplasmではなくmyofibrilの変性したものと思われる.脱神経により一般に酵素活性は低下し,さらに萎縮が進行する.第6図は腓骨神経切断後4ヵ月の前脛骨筋で,筋線維は細くなりところどころ食細胞が古い萎縮線維を取り巻き,間質の結合織が増殖してきている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら