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論述
変形性股関節症に対する骨頭骨切り術(Went)—その効果と適応について
著者: 広畑和志1
所属機関: 1神戸大学医学部整形外科学教室
ページ範囲:P.1004 - P.1010
文献購入ページに移動最近の人工関節の目ざましい進歩は変形性股関節症の患者に大きな福音をもたらした,しかしこの全置換術の発達のかげには以前から行なわれてきた種々の骨切り術が大きく寄与したとも考えられる.McMurray,Pauwelsなどの転子間骨切り術は現在でもなお,変形性股関節症のconventionalな手術法の重要な部分を占めている.その上,人工関節の出現によつて骨切り術の適応例が厳選されるために,その治療成績はかえつて向上して来たと言う人もある.著者も多数の症例にこれ等の骨切り術をおこなつて諸家と同じく優れた成績を得ている.
一方1964年Wentによつてはじめて異色とも言える関節内での骨頭骨切り術が発表され,その後1972年に到るまで,次々とその変法による治療成績が報告されてきた.この手術のアピールする特徴は,手術時間が20分で短くてすみ,内固定は不要で而も術後数時間後に起立と歩行が可能な点にある.従来の骨切り術には,長期間の後療法が必要なところから,試みとして著者は高度の変形性股関節症を選んで,この骨頭骨切り術をおこなつた.それ等の症例が現在すべて4年以上を経過したので追跡調査の成績を報告し,この手術の有用性や適応などについて著者の見解を述べたい.
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