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追悼
Lorenz Böhlerと近代骨折治療学
著者: 天児民和12
所属機関: 1九州大学 2九州労災病院
ページ範囲:P.255 - P.256
文献購入ページに移動Lorenz Bohlerは1885年Austriaの生れで父は建具師であつた.彼が骨折の整復,ギプス包帯に細かい技術を要求するのもこの父の影響ではあるまいかと思われる.Wienの大学で勉強し医師になつたが,数年は田舎の病院を転々としていた.そして船医になつて米国に渡り,Mayo Clinicでしばらく滞在していた時に第1次世界大戦が勃発した.ここから彼の新しい運命が開けてきたのである.やがて彼も陸軍に応召しItaly戦線の第1線で働いた.そしてAustriaとItalyの国境の山岳戦で多くの骨折患者に遭遇し,その治療法に関して彼は考えさせられた.やがて彼は病気になつて第1線を退き後方の病院に勤務するようになつた.そこでも彼は骨折の治療に専念し,ただ骨折が癒合するというだけではなくその後の機能に重点をおいた治療法を考えsystematicな体系を作つた.そして従来外科医によつて扱われていた骨折を外科から切り離してしまつて災害外科という新しい専門分科を作ろうと考えたのである.
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