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雑誌目次

雑誌文献

臨床整形外科8巻4号

1973年04月発行

雑誌目次

カラーシリーズ

四肢の軟部腫瘍 10—平滑筋腫

著者: 金子仁

ページ範囲:P.274 - P.277

 平滑筋腫は平滑筋から発生した良性腫瘍である.
 四肢にできるのは決して稀でない.しかし時々,線維腫との区別がつかなくなる.特殊染色により鑑別するのが最も確実である.

視座

軟部腫瘍も登録制を

著者: 青池勇雄

ページ範囲:P.279 - P.279

 骨腫瘍の登録が行なわれてから,かれこれ15年経つているが,まだ整形外科から全部の症例が登録されるに至つていないのは残念ではあるが,登録のような面倒なことは,そう無理に強いられるものでないから,さらに時期を待つより致し方がないであろうし,その登録の価値を知つて貰うように努めなければならない.
 骨腫瘍登録は日本の骨腫瘍の全般的なこと,とりわけ分布や頻度を良く示すようになり,現在のぼう大な数からも,かなり信頼のできるデータが得られるようになった.骨腫瘍についていろいろの研究や調査にも,充分な資料が役立っている.もう一つ頑張って,整形外科の全症例が登録されるようになることを期待する.

論述

肘Flexor-Plastyの経験

著者: 平山隆三 ,   津下健哉 ,   平田悦造 ,   垣花隆夫

ページ範囲:P.280 - P.287

はじめに
 手機能の支持機構としての肘関節の機能障害,特に屈曲力の喪失は上肢機能に致命的欠陥となり,その屈曲力の再建には種々の方法が試みられている.主に筋腱移行によるもので,その主なものは,1)Steindler法に準ずるもの,2)大胸筋移行術(大胸筋鎖骨部移行,大胸筋胸骨部移行),3)上腕三頭筋前方移行術などである.我々は過去14年間にFlexor-Plastyを行つた26症例につき治療成績を調査し,成績に及ぼす諸因子につき検討したので報告する.

慢性関節リウマチの疫学的研究—八尾市における地域住民調査について

著者: 小松原良雄 ,   芥川博紀

ページ範囲:P.288 - P.298

はじめに
 慢性関節リウマチは決して新しい疾患ではなく,また,稀なものでもない.しかも,進行すると高度の身体障害をおこす疾患である.にもかかわらず,なぜか医学的研究はもとより,社会的対策においても遅々として進んでいない.
 その原因を考えてみると,次の3つに集約されるのではないだろうか.

先天性内反足の治療—足部変形の様態と大腿骨前捻角との関係について

著者: 藤井英夫 ,   安江謙二

ページ範囲:P.299 - P.311

はじめに
 先天性内反足の治療後,長年月に亘り経過を観察してみると,足部変形が保存的に,あるいは手術的に完全に矯正され,レ線学的にも全く変形が認められない症例でありながら歩行するとtoeing-inや,kneeing-in gaitなどの歩容異常を訴える症例が非常に多い,もちろん,このような症例の中には足根骨の解剖学的なalignmentの乱れや,骨格自身の変形,その他,下腿の内捻などがその原因となつている場合も十分考えられる.
 しかしながら,著者は年長児にもかかわらずこのような歩容異常のある症例の中には患肢大腿骨頸部の前捻角が著しく増強し,又,その股関節の内,外旋可動域にも著明な異常所見があることを知つた.従来より一般に,大腿骨頸部前捻角(以下A. T.と略す)が非常に強い症例では概して下肢を内旋位で歩行し,いわゆる,toeing-inや,kneeing-in gaitを行うことはよく知られているが,先天性内反足においては足部の遺残変形や,下腿内捻など歩容に直接影響を反ぼす因子が多くの場合共存しているため本症の歩容異常は全てこれら,足部や,下腿の変形が原因であろうとされて来たきらいがある.

股関節内肝油注入法による脱臼性ペルテス様変化の治療経験

著者: 大橋光伸 ,   辻成人

ページ範囲:P.312 - P.321

緒言
 近年,先天股脱の機能的療法が導入されて以来,脱臼性ペルテス様変化(いわゆるLuxationsperthes,以下ペルテス様変化という)の発生率は,著しく低下したが,なお遭遇する機会があり,その治療には有効適切なものがみられないのが現状である.
 1954年以来,ハンガリーDebrecen医大整形外科で実施されてきた関節症やペルテス病の治療法の一つに,関節内肝油注入療法があるが,われわれはこの方法をペルテス病に追試し,良好な結果を得たので,さらにペルテス様変化にも試み,有効と思われる結果を得たので報告する.

先天股脱の予後—特に治療終了時と10年後レ線像との関連性について

著者: 岩崎勝郎 ,   渡辺徹 ,   井手迪 ,   渡辺整 ,   松本直昌

ページ範囲:P.322 - P.333

いとぐち
 先天股脱に対する治療法の優劣に関しては古来より幾多の文献に論じられているが,しかし同じ方法で治療された先天股脱でもその遠隔成績はきわめてvarietyにとんでいることには驚かざるを得ない.このような成績の差というものが何に支配されて生じるかということは非常に大きな問題であるが,我々はその足がかりを治療終了時の股関節の状態に求めてみようと試みた.そして股関節が「良い整復位」にあるという条件に一つのcriteriaが与えられれば外科的治療の適応決定に際して目やすが得られるものと思う.

検査法

整形外科領域におけるScanning Electron Microscopyの応用—III.メニスクス

著者: 井上一

ページ範囲:P.334 - P.342

 関節腔内におけるメニスクスの構造と機能は,すでによく判明しているがごとくであるが3,4,5),しかしその機能に対応する表面あるいは実質の立体構造は,ほとんど検索されておらず,整形外科領域において興味ある課題の一つと考えられる.ここでは,膝関節メニスクスをScanning Electron Microscopy(以下SEMと略す)下に観察し,その機能構造と変性を検討して紹介したい.試料作製および観察法は,すでに前2回に記した通りである.

紹介

骨系統疾患の命名,分類についての最近の動向

著者: 杉浦保夫

ページ範囲:P.343 - P.346

はじめに
 骨系統疾患については従来多くの分類法が提唱されてきたが,いずれも一長一短,必ずしも満足すべきものはなかつた.1964年,Rubin11)がDynamic Classification of Bone Dysplasiasの著書を出版して以来,各骨系統疾患を,その主病変がそれぞれ生理機能を異にした骨の解剖学的区分epiphysis,epiphyseal plate,metaphysis,diaphysisのどこに存在しているかによつて分類し,骨化過程のどこかに障害があつて招来される骨化障害疾患bone dysplasia,骨格奇形dysostosis,ビタミン・ホルモン異常などの代謝障害に基く骨異常bone dystrophyの別を明らかにした比較的明解な彼の分類法が世界的に広く使用されるに至つた.もちろんこの分類法にもいくつかの難点,矛盾点のあることが指摘されてはいるが,多くのbone dysplasiaのX線学的特徴をその部のmodeling障害によつて招来される形態的変化と直結して理解し得る点では画期的な分類であり,関連文献を広くたんねんに渉猟し,多数の文献を整理,集録している点とあいまつて,骨系統疾患の研究には必須の参考書籍であり,その業績は高く評価されるべきものと考える.わが国においても,このRubinの分類法が天児ら1,2)によつて詳細に紹介されて以来,もつぱらこの分類法が利用されてきたように思われる.

臨床経験

Weber-Huggler型人工股関節による全置換術の経験

著者: 渡辺良 ,   赤坂靖三 ,   琴浦良彦 ,   岡正典 ,   笠原吉孝 ,   中根康雄 ,   宮田慶男

ページ範囲:P.347 - P.352

はじめに
 股関節の病的部分を除去して,これを人工関節部品で置換するという考えが一般に受け容れられるようになつたのはJudetらの業績に負う所が大である20).大腿骨頸部骨折や骨頭壊死など股関節の骨頭側に病変のみられる場合には,人工骨頭置換術などの部分的関節置換術(Partieller Gllenkersatz)が優れた成績を示すことはよく知られている.しかしながら股関節の相対する軟骨面がともに変化を起こしている変形性股関節症の場合には,部分的関節置換によつて一方の関節面のみを人工関節で置換しただけでは満足な結果を得ることは困難であり,Cup法のように相対する両関節面の形成を目指す手術法が必要である.
 病的な両関節をともに人工関節部品で置換する全置換(totaler Gelenkersatz)の思想は,この人工骨頭法とCup法の考え方を基にして発展してきたと思われる.J. Charnley5)やG. K. McKee,J. Watson-Farrar13)による全置換術が安定した成績をもたらすようになつて未だ僅かに十年を経過したに過ぎないが,全置換術の症例は年々増加しており,諸家の報告からも優れた成績をあげうる手術法であることがうかがわれる.

Hangman's fractureの1症例

著者: 青山和義 ,   土沢正雄 ,   西村陽三 ,   上徳善也

ページ範囲:P.353 - P.358

 われわれは最近交通事故による第2頸椎脱臼骨折,いわゆるHamgnan's fractureの1例を経験したので,若干の文献的考擦を加えて報告する.

基本情報

臨床整形外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1286

印刷版ISSN 0557-0433

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