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論述
先天性内反足の治療—足部変形の様態と大腿骨前捻角との関係について
著者: 藤井英夫1 安江謙二1
所属機関: 1兵庫県立のじぎく園
ページ範囲:P.299 - P.311
文献購入ページに移動先天性内反足の治療後,長年月に亘り経過を観察してみると,足部変形が保存的に,あるいは手術的に完全に矯正され,レ線学的にも全く変形が認められない症例でありながら歩行するとtoeing-inや,kneeing-in gaitなどの歩容異常を訴える症例が非常に多い,もちろん,このような症例の中には足根骨の解剖学的なalignmentの乱れや,骨格自身の変形,その他,下腿の内捻などがその原因となつている場合も十分考えられる.
しかしながら,著者は年長児にもかかわらずこのような歩容異常のある症例の中には患肢大腿骨頸部の前捻角が著しく増強し,又,その股関節の内,外旋可動域にも著明な異常所見があることを知つた.従来より一般に,大腿骨頸部前捻角(以下A. T.と略す)が非常に強い症例では概して下肢を内旋位で歩行し,いわゆる,toeing-inや,kneeing-in gaitを行うことはよく知られているが,先天性内反足においては足部の遺残変形や,下腿内捻など歩容に直接影響を反ぼす因子が多くの場合共存しているため本症の歩容異常は全てこれら,足部や,下腿の変形が原因であろうとされて来たきらいがある.
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