臨床経験
経験例からみたMallet Fingerの予後
著者:
上山征史郎1
江川巌1
所属機関:
1東邦大学医学部整形外科学教室
ページ範囲:P.434 - P.437
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Mallet Fingerはしばしば遭遇する外傷であるが,その治療は各自まちまちで必ずしも統一されていない.そこで如何に治療するのが最も好ましいかを知る目的でわれわれが過去数年間に加療した症例の成績を調査してみた.症例は50例で,そのうち男子38例(76%),女子12例(24%)で,男子が2/3以上を占めている.その受傷原因は,スポーツ外傷18例,機械による挾激16例,指尖よりの強打12例,刃物等による切創4例で松崎1)らのいうように野球以外の球枝にも多くみられた.受傷指の分布において,Stark2)等は,第3指が多く,5,4,2指の順であるが,われわれでは,右側に第3,4指が多くみられた.これらは素手でボールを受けるスポーツによるものが多い.また,左手では切創およびバレーボール等による突指が多い(第1図).
年齢分布では,Stark2)等は30歳台,20歳台,50歳台の順に多いが,われわれの場合,20歳台が30%で最も多く,10歳(24%),40歳(18%)の順である.これからみるとMallet Fingerはスポーツ等による外傷を受け易い年齢層に多いことが解る(第1表).