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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科8巻6号

1973年06月発行

文献概要

学会印象記

第28回米国手の外科学会に招待されて

著者: 津下健哉1

所属機関: 1広島大学医学部整形外科学教室

ページ範囲:P.518 - P.520

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 この1月30日,31日,2月1日午前中の3日間第28回米国手の外科学会がネバタ州ラスベガス開催されました.会長はChicagoのDr. Bell,会場はCaeser's Palace Hotelで私はFounders Lectureをするようにとの招待をうけ,この学会に出席する機会を得たのでその印象記ともいうようなものを書いてみたいと思います.Founders LectureというのはもともとDr. Bunnellのmemorial lectureということで行なわれていましたが,その後Founders Lectureと名前を変えたもので,手の外科に貢献したものということで,これに指名されると自動的に米国手の外科会の名誉会員になるというしきたりがあり,今日までの名誉会員であるSeddon,Pulvertaft,Verdan,Vainio,Tubiana等10数名の方と並べられることであり非常な名誉でありました.
 さて学会に先だつた29日の午前中をかけて学会々員のみのcloscd meetingという型で,“The use of silastic Implants in tcndon Surgery”についての討議が行なわれました.Duke大学のDr. Goldnerが司会を行ない,Dr. Carroll,Dr. Hunter,Dr. McFarlandその他が臨床経験を,またDr. Urbaniakらが基礎的研究を発表,これに対して自由討議の型でディスカッションが行なわれました.Rod挿入の手技,後療法については未だ一定の方針が確立されているわけでなく,各人各様の使用方法が行なわれているようでありますが,たとえばHuntcrは術後5日目頃から運動をはじめ腱のいれかえは3週から3ヵ月とするようであり,その成績もいわゆるBoyesの腱移植術前所見でgoodの症例には腱移植が行なわれてよいが,その他の場合にはrodを使用して二次的に腱移植を行なつた方が良結果が得られるというような意見でありました.しかしGoldnerらからはその失敗例,問題点などが指摘され,またDr. Tuppcrから自分は移植腱のaseptic necrosisによる断裂例を経験したがそのような経験の方はないかとの質問に対して8名ばかりの人が挙手していたのは印象的でした.しかしいずれにしても本法が瘢痕の強い腱損傷例に対する治療法の1つとして絶対的な地位を確保しつつあることは確実であり,今後われわれもこの方面の確立に積極的に取り組む必要があることを痛感した次第であります.そしてこれに関する報告は学会演題の中でも取り上げられ,人工腱と骨との固定法など以前にわが国でも報告されたような演題が再び取り上げられていました.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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