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骨病変のモデルとしてのosteolathyrismにおける骨コラーゲンの変化
著者: 林泰史1 五十嵐三都男1 松浦美喜雄2 吉野槇一3
所属機関: 1東京都養育院付属病院整形外科 2東京都老人総合研究所臨床生化学 3都立大塚病院リウマチ科
ページ範囲:P.55 - P.63
文献購入ページに移動Lathyrismは体重減少,骨格異常,血管異常を伴う疾患で,病因はコラーゲン,エラスチンの脆弱性の増加,抽出性の増大に起因している.本症は19世紀の科学者Cantaniがスイートピーの一種,lathyrus odoratusの種を摂取することにより発病することを発見して以来,lathyrismと名づけられた1)).ヒトにおいては本症はインド,アルジェリアで往々みられ,罹患率は人口の7%に達することがある1).実験的lathyrismは幼若ラットにlathyrus odoratusの種の挽いたものを50〜70%の割合でえさの中に入れ,飼育することにより,コラーゲン含有量の多い組織,すなわち骨,腱,皮膚等に異常をきたすことをGeiger(1933)等が観察したのが最初である2).
Lathyrism発症に有効な成分をβ-aminopropionitrile(以後βAPNと略す,NH2・CH2・CH2・CN)であることを確認したのはSchilling(1954)等である3).
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