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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科9巻11号

1974年11月発行

文献概要

カラーシリーズ 整形外科手術・4

胸椎に対する前方侵襲法(除上位胸椎)

著者: 池田亀夫1

所属機関: 1慶応義塾大学整形外科

ページ範囲:P.872 - P.875

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 胸椎に対する前方侵襲法は炎症(カリエス,化膿性骨髄炎など),腫瘍,椎間板ヘルニア,形態異常,脱臼骨折などに適応され,開胸法によって病巣へ到達する.この場合,肋骨は移植骨として利用するので切除する.また,術前に選択的脊髄動脈撮影を行い,大前根動脈を確認しておく.侵襲側は前回述べたように決定する.
 側臥位で前方は乳腺から肋骨に沿い,側胸部を弓状に横切り,後方は傍脊椎線に至る皮切を加える.肋骨は斜走しており罹患椎に相当する肋骨を切除して侵入すると,病巣は高位にすぎ,視野は狭隘となるので1〜2椎高位の肋骨を切除して侵人する.所要高位の肋骨を骨膜下に切除し(第1図).胸膜内または胸膜外式に開胸する(第2図).呼吸能に及ぼす影響,術後管理の容易さなどの点から多少時間を要し,出血量もやや増すが後者を愛用する.鈍的に胸膜外式に剝離を進め病巣部を露呈する(第3図).病巣高位の肋間動,静脈を結紮,切断する.肋間神経,大・小内臓神経は可及的温存し損傷をさける.もし手術野に大前根動脈を分岐する肋間動脈が存在するときは—かなり太くて識別容易—椎体から充分に剝離し移動し易い状態におく.決して切断してはならない.前縦靱帯および骨膜を縦切し,さらに必要に応じて横切を加えて骨膜下に椎体を露呈する(第4図).病巣切除後(第11図).椎間開大位で骨移植する(第12図),骨膜,前縦靱帯(胸膜内開胸のときは胸膜も)で患部を被覆,縫合する(第13図).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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