第47回日本整形外科学会総会より
頸椎症性脊髄症<総合討議>
著者:
小野村敏信1
所属機関:
1京都大学医学部整形外科学教室
ページ範囲:P.1011 - P.1016
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第47回日本整形外科学会総会(会長:柏木大治教授,昭和49年4月,神戸市)において,頸椎症性脊髄症の治療成績が総合討議の一つとして取り上げられた.この討議はいわゆるブライトン方式によりchairman津山直一教授,co-chairman平林洌助教授の司会で行われ,6題の研究発表があり,私もintroductory speakerとして参加したが,本症の観血的治療上の問題点が多角的に検討され,この疾患に経験深い方々の意見を知ることができた.ブライトン方式はこのテーマのように対象とする疾患あるいは治療方針に共通する部分の多いときには,従来の方法に比べて導入部を省略し,討論の焦点をはつきりさせることができるので非常に良い方法であると考えられる.今回は時間の関係上,討論時間がもうすこしあればという印象を受けたが,われわれがこの方式に慣れてくれば実りの多い進行法となるであろう.
以下この討議でとりあげられた問題点を順を追つて紹介してみたい.実は各演者から予め御寄せいただいた研究内容はいずれも本症観血的治療の広い範囲にわたるものであつたが,討議の構成上各演者にはそのうちの2,3の問題に限つて御発表いただくよう依頼したため,席上十分に述べていただけなかつたのではないかと危惧している.そこで,ここでは各演者が予稿の中で述べられた御意見もできるだけ加えて報告したい.