検査法
整形外科および形成外科領域における3H-thymidine autoradiographyの応用
著者:
井上四郎1
榊田喜三郎2
市田正成2
芦原司3
所属機関:
1岐阜歯科大学整形外科学教室
2京都府立医科大学整形外科学教室
3京都府立医科大学第二病理学教室
ページ範囲:P.156 - P.162
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ここ数年来,われわれの分野に属する学会において,種々のautoradiographyを用いた研究が発表されるようになつてきた.その多くのものは,組織や細胞の代謝過程のあるステツプに特異的な前駆物質を投与し,その標識されたアイソトープのとりこみを利用して行なわれてきた.この標識物を追跡することによつて細胞,組織の代謝を,細胞レベルでより明確に把握することが可能となつた.また時間のfactorを考慮に入れたdynamicな観察ができるようになつたわけである.これらの有用な研究方法も慣れない術語や組織所見のため広く親しみをもつて理解されないのが現況である.しかし実際にこのような研究方法を理論的にも,また技術的にも習熟してみれば,かえつて単純明解な研究方法であるとさえいえよう.
われわれもこの数年,主として3H-thymidine autoradiographyを応用して,広く研究を進めてきた結果,非常に有効な研究手段であると信ずるので,ここに一般的な解説とともに,実際の手技について説明する.