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論述
脳性麻痺の新しい早期治療法—Vojta(ボイタ)法について
著者: 佐竹孝之1
所属機関: 1足立学園
ページ範囲:P.460 - P.466
文献購入ページに移動脳性麻痺(以下CPと略す)に対する治療法は,近年,徐々にではあるが確実に進歩してきた.従来,治療の対象となつていたのは主に病型が既に固定し変形,拘縮が生じ,あるいは異常な姿勢反射が顕著で運動発達遅滞の著しい,いわゆる「障害」ができ上つた年長CP児であつた.これらの障害を有する患児の治療には多くの困難性があるが,整形外科的手術の適応,補装具や歩行Aid等の使用,さらにはPT,OT,ST等各専門パラメディカルの参加によるチームアプローチをもととした治療体系が確立され,これが福祉行政の進展とともに拡充され,発展して来,これまでかなりの療育の成果を挙げている.
一方,急速に発達する乳幼児の中枢神経系が病変の場となるCPに対して,できるだけ早期より治療を開始することの重要性は以前より多くの先人が指摘するところであつたが,最近,小児神経学の進歩によつて乳幼児期の運動発達に関する知見は増加し,また,神経生理学に基礎をおく治療法が導入されることで,CPの早期診断,治療の可能性はますます大きくなつてきている.従来の治療体系に新しい治療法を組み込むことで,CPに対する治療も,乳幼児CPあるいはまだ病型が定まらないがいくつかの危険因子を持つ危険児(Risikokinder)を対象とする新しい治療の場が展開されることとなる.産科,小児科等他の専門科や保健所等の行政機構との協力のもとにRisikokinderを早期から治療のルートに乗せ得るような体制を作ることは焦眉の課題であろう.
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