臨床整形外科9巻8号

1974年08月発行

臨床経験

軟部骨原性肉腫の1例

著者： 荻野幹夫¹ 蜂須賀彬夫¹ 石上英昭¹

所属機関： ¹国立東京第一病院整形外科

ページ範囲：P.699 - P.701

文献概要

はじめに
　四肢軟部より発生する悪性腫瘍の中には，本来その場所にある組織より由来し，かつその生産する細胞間質が本来そこにあるものである場合，たとえば線維肉腫，横紋あるいは平滑筋肉腫，脂肪肉腫，血管肉腫のごとき場合と，本来はそこにない組織を作る肉腫，たとえば骨原性肉腫，軟骨肉腫，悪性滑膜腫のごとき場合，およびまつたく未分化のものに分けることができる．その中で第2のグループに属するものは症例も少ないので多くの成書中にも簡単に触れられているに過ぎない．本文ではわれわれの経験した珍しい軟部横紋筋中に発生し，急速な経過をとつて死に至つた骨原性肉腫の1例を報告する．