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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科60巻10号

1988年10月発行

特集 ウイルス感染症

II.ウイルス感染症

ヘルペスウイルス感染症

著者: 竹崎伸一郎1

所属機関: 1北里大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.867 - P.876

文献概要

はじめに
 ヘルペスウイルスは皮膚や粘膜を侵す代表的なウイルスである。身体の入口と出口に好発するため,耳鼻咽喉科・皮膚科・口腔外科領域と産婦人科領域における重要なウイルス性疾患といえよう。ヘルペスウイルス感染症の臨床像に関しては古くからよく理解されてはいたが,近年の生活環境や疾病構造の変化につれて,多方面で新しい問題を引き起こしている。単純ヘルペスに関していえば,衛生環境の改善と疾病予防が徹底してきたために小児期に感染せず,思春期に初感染を受けることが増えたため,性行為感染症としての性格がクローズアップされてきた1)。水痘・帯状庖疹ウイルスにおいては,高齢化社会になるにつれ,帯状庖疹の増加とその後遺症としての帯状疱疹後神経痛が大きな問題となる。
 ヘルペスウイルス感染症は初感染の後にウイルスが体内に潜伏し,しかも抗体が存在するにもかかわらず,高齢化や個体の免疫能の低下に伴って再発してくることが最大の特徴である。医学の進歩と社会の高齢化を背景とする免疫不全状態患者の増加により,重篤な感染や高い再発率が今日的な問題となってきたといえよう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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