CPC
鼻腔のamelanotic melanomaの1症例
著者:
西嶌渡
,
竹生田勝次
,
市川容子
,
野崎信行
,
上原敏敬
,
志佐湍
,
高山昇二郎
,
柳川茂
ページ範囲:P.1123 - P.1126
メラノーマは欧米人に比して日本人には少ない1)疾患である。しかしその悪性度が高いため,本邦でも専門領域を問わず臨床医からは常に注目を受けている。成書によると全悪性腫瘍の1.2%の頻度で発生する2))といわれている。その発生母地は大多数が皮膚であるが粘膜に発生するメラノーマもある。欧米の報告によると全メラノーマの0.4%〜14%14)に,本邦の報告ではそれよりももう少し頻度が高く,全メラノーマの13%3)〜27%4))粘膜に発生するメラノーマを認め,その予後は皮膚に由来するメラノーマよりもさらに悪い1)といわれている。またメラノーマでは必ずしも黒色を呈するとは限らず,色素沈着を認めないamelanotic melanomaが全メラノーマの10%〜30%4)に認められる。Conleyら6)は全メラノーマの10%が頭頸部に原発し,さらに頭頸部の粘膜に原発するものに着目すれば,その5.7%がamelanotic melanomaであると報告している。いずれにせよamelano—tic melanomaは少ない疾患といえる。供覧した症例は鼻腔の粘膜に発生したamelanoticmelanomaで,鼻腔内はメラノーマに通常認められるような黒色は呈さず,易出血性の灰白色病変を主体とし,加療中にもかかわらず頭蓋内への直接浸潤とともに消化管を中心とする遠隔転移により死亡した症例である。