文献詳細
原著
松果体腫瘍術後,聴覚障害,下方注視麻痺,輻輳眼振を呈した中脳障害の1例
著者: 山田勝士1 加我君孝1 進藤美津子1 田村晃2 佐野圭司2
所属機関: 1帝京大学医学部耳鼻咽喉科学教室 2帝京大学医学部脳神経外科学教室
ページ範囲:P.1101 - P.1107
文献概要
松果体腫瘍はわが国では全脳腫瘍の3〜4%と諸外国に比べて多く,若年者に好発する脳腫瘍の一つである。松果体はその存在する解剖学的位置のため,ここに腫瘍が生じると容易に中脳障害を惹き起こす。松果体腫瘍では稀に聴覚障害を呈することが知られており,実際に報告1〜5)があるが,その機序は明らかではない。中脳障害の神経症候は垂直性眼球運動系の障害として生じ,上方注視麻痺が下方注視麻痺よりも頻度が高い。また輻輳眼振もその神経症候の一つである6)。われわれは松果体腫瘍摘出術後,中枢性聴覚障害,下方注視麻痺および輻輳眼振を合併した1例を経験したので,MRIによる画像診断学的および神経耳科学的に検討し,報告する。
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