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原著
鼻粘膜広汎切除術:遠隔成績について
著者: 大塚博邦1 坂口喜清1 渡瀬隆雄1 目沢朗憲1 奥田稔1 高橋光明2 海野徳二2 木村廣行3
所属機関: 1日本医科大学耳鼻咽喉科教室 2旭川医科大学耳鼻咽喉科教室 3静岡済生会病院耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.139 - P.144
文献購入ページに移動鼻アレルギー症状の一つである鼻閉は鼻粘膜のmetachromatic cellから遊離したchemical media—torにより局所血流の循環障害や浮腫が生じた結果起こるものと,長期にわたって繰り返すアレルギー反応により結合組織の増生や血管の拡張が生じることによるものとがある1,2)。前者は可逆性で薬物などの保存的治療により奏効する場合が多いが,後者は治療に抵抗する1,3)。このような難治性の鼻粘膜の腫脹に対し従来より下鼻甲介粘膜広汎切除術を行ってきたが,手術後1〜2年は鼻閉は完全に消失するものの,長い経過をみると再び症状の悪化をみるものも経験する。著者らは下鼻甲介粘膜切除術後5年以上経過した症例をアンケートによって遠隔成績を求めた結果,術後2年まではよい結果が得られてもその後再発する例があり,とくに術前のくしゃみ,鼻汁の程度が高度なもの,またはこれらのコントロールできないまま手術した症例は鼻閉の再発をぎたしやすいという知見を得たので報告する。
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